第五福竜丸

ビキニ事件を現代に問う

岩波ブックレット 628

川崎 昭一郎

2004年7月6日

岩波書店

528円(税込)

人文・思想・社会

東京都江東区の「夢の島公園」は、その後に開発された若者たちの人気スポットである「お台場」と、千葉方面の葛西臨海水族園、ディズニーランドにはさまれた新木場にある。この公園内のマリーナに続く広場に、東京都立第五福竜丸展示館が立っている。外観は、百科事典の背表紙を上にして立てたような独特な形をしている。第五福竜丸。この船は、一九五四(昭和二九)年三月一日、アメリカが行った水爆実験による「死の灰」(放射性降下物)をあびた。いわゆるビキニ事件、第五福竜丸事件として日本中を驚かせた。死の灰はマーシャル諸島の人々の上にも降りそそいだ。たくさんの人々が、健康を、生活を、そして島を奪われた。それから五〇年経った今も、この事件は解決したとはいえない。一九四七年和歌山県で建造され、長年の歴史を刻んだ一四〇トンの木造船はどっしりと重量感があり、新しい展示パネルに取り囲まれていると、その古さがひときわ目立つ。なぜ、このような船が東京のこの場所に保存、展示されているのだろうか、ビキニ事件とは何であったのだろうか、福竜丸の航跡をたどりながら一緒に考えてみよう。

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