霊魂離脱とグノーシス

ヨアン・ペーテル・クリアーノ / 桂芳樹

2009年5月31日

岩波書店

4,950円(税込)

人文・思想・社会

天上の世界から地上に降り、また肉の存在を脱して天空に帰還する霊魂、あるいは宇宙の階層を往来する有翼の霊魂…これらの象徴とイメージは、いつ頃、どのような宇宙論・人間論・経済論を背景として形成されたのであろうか。古代末期から中世へ、霊魂の「離脱と帰昇」物語の原型を求めて諸文書の海を渡る。ギリシア起源の密儀宗教、ユダヤ神秘主義、中期・後期プラトン主義、ストア哲学、そしてグノーシスー諸思潮がもつれ合い、さながら豊饒な混成体のように、生気に満ちて運動するさまを記述する。独自の形態動学の方法によって浮かび上がる世界像形成のドラマ。それは天空の秩序から下意識の暗部におよぶ、存在そのものへの探検にほかならない。グノーシスの二元論的人間観・救済観は、神話的想像力の果たされなかった可能性を、一つの総合者として最も雄弁に後代に伝えているのではなかったか。大いなる転換期の壮麗な風景を描き出す、エクスタシスの現象学。

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