その日の予定
事実にもとづく物語
エリック・ヴュイヤール / 塚原 史
2020年6月25日
岩波書店
2,310円(税込)
小説・エッセイ
「いちばん大きなカタストロフは、しばしば小さな足音で近づいてくる」。第二次大戦前夜、オーストリア併合に至る舞台裏を、事実の断片から描き出す。大企業家とナチ高官との秘密会合、オーストリア首相を恫喝するヒトラー、チェンバレンを煙に巻くリッベントロープ…。彼らの卑小で時に荒唐無稽な行動・決断が、世界を破局に引き込んでゆく。事実に基づく物語。仏ゴンクール賞(2017)受賞作。 主な登場人物 1 秘密の会合 2 仮 面 3 儀礼的訪問 4 脅 迫 5 ベルクホーフの会見 6 やむを得ない決定 7 絶望的な企て 8 電報を待った日 9 ダウニング街の別れのランチ 10 「電撃戦(ブリッツクリーク)」 11 戦車の大渋滞 12 電話の盗聴 13 ハリウッドの貸衣装店 14 幸せのメロディー 15 死者たち 16 あの人たちはいったい何者なんだ? 解 説…………三島憲一 関連画像 訳者あとがき
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(無題)
フランスのゴンクール賞受賞作。まだ第二次世界大戦に至る以前、ナチスドイツは戦うことなくオーストリアを併合した。その舞台裏を短く簡潔にまとめた物語。あくまで事実に基づいているものの細部の会話は作者の創作、という意味でのフィクションは個人的な好みからすると翻訳のせいかもしれないが文体が少し華美に過ぎるかな。ナチに協力しオーストリア併合に際しても献金を行う今も存続かつ繁栄し続ける大企業家たち、オーストリアの独裁者を呼びつけ恫喝するヒトラー、併合の発表に対する動きを遅れさせるためにくだらない話でイギリスの首相をランチのテーブルに引き止め続けるナチの外交官、一見ばらばらな動きが流血なく一つの国が征服される過程のデタラメさを描き出している。ナチスドイツが権力を握る前に既にハリウッドにはナチの軍服が映画用に準備されそれをユダヤ人が手入れしていたというエピソードや、ヒトラーによって追い落とされるオーストリアの首相と彼の後釜に座るオーストリアナチスのリーダーがブルックナーについて意見を交わす場面など、一見ストーリーに関係のないそれでいて興味深いエピソードの插入も効果的。ちょっと読みにくい部分はあるけどもかなり興味深い物語で面白かった。
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