人びとのなかの冷戦世界

想像が現実となるとき

益田 肇

2021年4月20日

岩波書店

5,500円(税込)

人文・思想・社会

冷戦とは何だったのか。大国同士の駆け引きや政治リーダーを主人公とする従来の物語とは一線を画し、無数の名もなき人びとの日常的な想像と行為の連鎖と、現実政治との影響関係から冷戦初期の歴史を描く。恐怖、不安、敵意、憎悪、願望……現実は人びとにどう想像され、それは増幅拡散してどのように新しい現実を生み出していったのか。 序 章 冷戦とは何だったのか? 第1部 連鎖する世界 第一章 名付けえないものに名前を付ける  巻き返しの嵐/何がアメリカ的なのか?(何が非アメリカ的なのか?)/占領司令部に飛び火する赤狩りの嵐/「逆コース」をめぐるローカル・ポリティクス/「逆コース」に対する中国の反応/反国民党・反米感情の広がり/米国における「中国」観/流動的な「現実」 第二章 ローカルに翻訳するということ  「我々は既に第三次世界大戦の初期段階にいる」/「ヒステリーは勘弁してくれ」/反植民地主義の時代/戦時の国家建設 第2部 社会的なものの時代 第三章 虚構の現実  国内外における「本当の」戦争/ワシントンにおける行き詰まり/世間一般での見方/一九五〇年の国内政治ーー共和党/一九五〇年の国内政治ーー民主党/仁川上陸作戦の余波/三八度線北進の決断 第四章 印象をめぐるポリティクス  中国共産党の抑制的態度/仁川上陸作戦以降に広まる流言と恐怖/今なお続く「内戦」状態/国際紛争を通して眺められる国内社会問題/アメリカのイメージ/朝鮮戦争への中国参戦/共産党指導部における大論戦とためらい/人民志願軍による三八度線の南進 第五章 「真実」の創出  「第三次世界大戦はもう始まっている」/「真実」創出への人びとの参加/「事実」としてまかり通る偏見/「囚われた数百万の人びと」/明らかになる内部の亀裂 第六章 動員と参加の狭間で  反論、不信、恐怖/同意、参加、熱狂/戦争の記憶と「真実」の形成/支持と参加/疑念と反感/不確かな「現実」 第3部 同時性の世界 第七章 社会戦争  マッカーシズムとは何だったのか/冷戦世界における社会戦争の封じ込め/冷戦論理とジェンダーをめぐる争い/草の根社会保守主義としての冷戦論理 第八章 内部の敵  国内における「冷戦」/絶え間ない生活戦争/レッドパージとは何だったのか/レッドパージの内的メカニズム/学生運動と草の根保守主義の巻き返し 第九章 人びとの戦争  「鎮反運動」の再考/コミュニティーレベルにおける社会的粛清/「秩序」と「調和」を目指した人びとの闘い 第一〇章 再植民地化としての脱植民地化  「白色恐怖」激化の社会的背景/手段と目的の逆転/不参加という「参加」/「非フィリピン活動」の制圧/歴史的・社会的な背景/ローカルな作用・社会的な側面/冷戦という虚構への不穏な期待 終 章 社会装置としての冷戦 著者による解題ーーあとがきに代えて 略語一覧 注 利用した公文書館・図書館一覧/図版所蔵・出典 索 引

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