慈悲のポリティクス

モーツァルトのオペラにおいて,誰が誰を赦すのか

クリティーク社会学

奥村 隆

2022年1月15日

岩波書店

2,420円(税込)

人文・思想・社会

どんな相手も無条件に愛し赦す、そうした純粋で絶対的な慈悲の世界が存在するとしたらーー。だがそれは、現実には存在し得ないものであり、仮に実現したとしても生と社会への不都合に帰結してしまう。本書では、モーツァルトの赦しを題材とする後期のオペラ作品から、この二重の困難をめぐるアポリアを追求する。 第1章 慈悲の問題系ーーモーツァルトのオペラにおける「赦し」  1 慈悲とその困難  2 モーツァルトのオペラと「赦し」--『イドメネオ』と『後宮からの逃走』  3 ふたつの世界の葛藤ーーエリアスの仮説から 第2章 赦しによる共同体ーー『フィガロの結婚』  1 中断された赦しーー『フィガロの結婚』第一幕・第二幕  2 三つの和解ーー『フィガロの結婚』第三幕・第四幕  3 「赦し主」と共同体 第3章 ふたつの赦しなき世界ーー『ドン・ジョヴァンニ』と『コジ・ファン・トゥッテ』  1 愛の無差別主義者たち  2 赦しを拒絶する自由ーー『ドン・ジョヴァンニ』  3 不完全なものとしての平等ーー『コジ・ファン・トゥッテ』 第4章 無差別な慈悲の残酷ーー『皇帝ティートの慈悲』  1 一七九一年のオペラ・セリア  2 無差別主義的な慈悲ーー『皇帝ティートの慈悲』第一幕  3 重唱に加わる皇帝ーー『皇帝ティートの慈悲』第二幕 第5章 慈悲のポリティクスからの自由ーー『魔笛』  1 無力な王子ーータミーノの物語  2 復讐者と赦し主の系譜ーー夜の女王とザラストロ  3 慈悲の共同体からの自由ーーパミーナの物語 文 献 解 説ーー残酷な赦し、愛の二重性、そして、慈悲のポリティクスからの自由……………大澤真幸 あとがき

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