フランス革命と神聖ローマ帝国の試煉

大宰相ダールベルクの帝国愛国主義

今野 元

2019年2月20日

岩波書店

10,450円(税込)

人文・思想・社会

神聖ローマ帝国は果たして有名無実の存在だったのだろうか。1806年、フランス革命の衝撃によって神聖ローマ帝国が風前の燈火となるなか、大宰相ダールベルクは帝国への愛国心を抱きながらも帝国を去り、フランス皇帝ナポレオン1世に従った。ダールベルクの生涯をたどるとともに、その帝国愛国主義を解明し、神聖ローマ帝国の歴史に新たな光を照射する。 序文 甦る神聖ローマ帝国 凡例 序 章 帝国大宰相はなぜ帝国を去ったのか 第1部 ローマ皇帝ヨーゼフ二世と協働司教ダールベルク 第一章 フランス革命前の神聖ローマ帝国  一 「ドイツ国民の神聖ローマ帝国」 ──ドイツ人が担う普遍国家  二 「トイツの自由」──近世帝国国制のドイツ的立憲主義  三 ドイツ王選挙・ローマ皇帝戴冠式 ──可視化された帝国国制  四 二元体制 ──エステルライヒ・プロイセンと「第三のドイツ」  五 玉座の改革者 ──ヨーゼフ二世の帝国改革と領国経営  六 帝国国法学の二極化  七 「聖なるドイツ」 ──帝国教会とカトリック啓蒙 第二章 ダールベルクの修業時代  一 帝国男爵家の出生  二 マインツ選帝侯国への出仕  三 エルフルト総督としての啓蒙専制  四 「ドイツ文芸の協働司教」 第三章 ダールベルクのマインツ協働司教就任  一 バイエルン継承戦争とエルフルト国の運命  二 諸侯同盟の結成とマインツ協働司教選挙の波瀾  三 皇帝との帝国国制論議  四 大嵐前の豊かな文芸活動 第2部 フランス人の皇帝ナポレオン一世と首座司教侯ダールベルク 第四章 ダールベルクの革命対応  一 リュティヒ暴動・封建的権利廃止・難民流入  二 独仏戦争と流血の連鎖  三 ナポレオン・ボナパルトの登場 第五章 ダールベルクの対ナポレオン協力  一 帝国大宰相への就任  二 帝国代表者会議主要決議の起草  三 大宰相選帝侯国の形成  四 ナポレオンとの急接近  五 神聖ローマ帝国からの離脱とライン同盟への参加  六 ライン同盟充実・ドイツ国民教会樹立の夢想  七 首座司教侯国の統治  八 マリー・ルイーズ輿入による墺仏和解構想  九 フランクフルト大公への転身 第六章 ダールベルクの落日  一 「難破の年」  二 最後の日々  三 売国奴か愛国者か 終 章 帝国愛国主義の論理と心理   結 語 注 史料文献一覧

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