都市危機のアメリカ

凋落と再生の現場を歩く

矢作 弘

2020年10月30日

岩波書店

3,520円(税込)

人文・思想・社会

GAFAなどのハイテク産業が屹立するニューヨークやシアトルなどのスーパースター都市。復興の明暗を分けるラストベルト都市。従来の豊かさの象徴だったショッピングセンターが廃れ貧困が広がる一方で、ミレニアルたちが移り住む「新たな郊外」。さまざまな都市の変貌からアメリカ社会をダイナミックに活写する。 はじめに  都市は流転し、生まれ変わる/アメリカ都市小史/歴史的な転換点にあるアメリカ都市/社会/本書の独自性 I 変容する「スーパースター都市の「かたち」」 1章 創造階級/創造都市が未曽有の格差社会を生む──「アマゾン騒動」と都市社会運動の台頭  アマゾン騒動「ニューヨークの陣」/アマゾン騒動「シアトルの陣」/都市は急には変われない/再び、都市社会運動の時代/R・フロリダの「転向」 2章 21世紀都市の「物の怪」、その正体を探る──ジェントリフィケーションの現場を歩く  ジェントリフィケーションが世界の都市を闊歩する/用語・ジェントリフィケーション/ジェントリフィケーション論争/ジェントリフィケーションを過激化させた都市改造/ブルックリンを歩く──「物の怪」の本性 補論 ポストコロナの、アメリカの「都市の「かたち」」考 II 変容する「ラストベルト都市の「かたち」」 3章 「格差社会の震源」コネチカットを歩く──ある工業都市が貧困都市に転落した構図を読む  格差の時代/一都市圏内の「二都物語」/貧乏都市──ブリッジポート(人口14万人)小史/金持ち都市──グリニッチ(人口6万人)小史/郊外に収奪される/マネー資本主義下の脱工業化/2018年知事選の争点 4章 ネクロポリスから「甦るラストベルト都市」──歴史的遺産を活かす  ネクロポリスに「再生の息吹」/事例・デトロイト──廃墟からの再生/起業家が先導する都市再生/歴史的遺産を活かす/見聞録──元気になったラストベルト都市/都市間、及び都市内格差が広がる/スーパースター都市の苦悩はラストベルトのチャンス/「台頭するほかの地域」の出現/創造階級が縮小都市に流れる/「公共空間」の色分けが変わる III 変容する「郊外都市の「かたち」」 5章 ショッピングセンター葬送の鐘が鳴る──郊外の「変容」とアメリカ例外主義の衰亡  社会現象になったショッピングセンターの閉鎖/葬送の鐘/事例・デトロイト/ショッピングセンターは「発明品」である/ショッピングセンターに埋め込まれた都市思想/なぜ、グルーエンは裏切られたのか/郊外で失われたシビックアーバニティ/アメリカ例外主義の衰亡の後に 6章 「郊外学」が求められる時代──貧困、多様性、リベラリズム、「もう1つの郊外」  「別の郊外化」が進む/貧困の実態と郊外/「もう1つの郊外」を希求──ニュータウン運動史/戦前のニュータウン運動/戦後のニュータウン運動/ニューアーバニズム/多様化とリベラリズムが育む「ニューニュータウン」の可能性?/馬飼育農家の隣に引っ越したミレニアル家族/21世紀型ニューニュータウンの可能性 あとがき

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