はじめてのクリスマス・ツリー

この物語の主人公である、小学校五年生のマリアンナの家では、これまで一度もクリスマス・ツリーをかざったことがありませんでした。クリスマスがくるたびに、マリアンナと兄さんの小学校六年生のケニイは「なぜ、この家では、かざらないのか？」と、おかあさんにたずねます。するとおかあさんは、いつも、こうこたえるのです。「だれもかれもが、するからといって、この家で同じことをしなければならない、という理由はないのよ。ママは、そういう考え方はしません。」マリアンナは、今年こそ、と決心するのです。近所の大学生の寮の外に捨てられていた、まだ生き生きとしたモミの木を見つけると、友だちのアリーといっしょに、家の裏庭にはこびます。ママが気づいたら、「家のなかにかざってもいいわよ。」というかもしれない、とつよい希望を持ちながら…。ところが…。小学４・５年以上。