意識と本質

精神的東洋を索めて

岩波文庫

井筒俊彦

1991年8月8日

岩波書店

1,276円(税込)

人文・思想・社会 / 文庫

東洋哲学の諸伝統の分析から得た根元的思想パターンを己れの身にひきうけて主体化し、その基盤の上に新しい哲学を生み出さなければならない。本書はこうした問題意識を独自の「共時的構造化」の方法によって展開した壮大な哲学的営為であるが、その出発点には自分の実存の「根」が東洋にあるという著者の痛切な自覚があった。

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Readeeユーザー

東洋思想構築の試み

-- 2021年09月28日

ギリシャ以東の様々な宗教・思想を原典から渉猟し、それらの前提となる東洋的な思想における意識の構造として、言葉により分節された世界からそもそもその分節を可能にさせる根元的な領域まで、複数の階層で成り立っていることを明らかにする。各層の存在論的な意味あいは宗教・思想により異なり、本書でいくつか取り上げられて明らかにされる。井筒は単にそれぞれを集約して理論的に構造化する、というだけではなく、自ら原典を読み、分節に至る意識の追体験を行う、というプロセスも経て、東洋的なるものの内側からの理解を試みる。東洋的などとひとくくりにすること自体、西洋的なオリエンタリズムであるという批判は当然ついて回るが、井筒は東洋の多極性への眼差しは失っておらず、東洋的なるものを解体してそれぞれの思想・宗教を研究するとしても、井筒の思考は常に手がかりになりうるだろう。

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