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(無題)
ルソーはジュネーブの時計職人の息子である。 ジュネーブの思い出もたっぷり語っている。 ルソーはスイスの人間となんとなく認識していながら、 何故か上巻の感想にはフランスのルソーと書いてあるのだからいい加減なものだ。 身も心もフランスを愛し...などの台詞に目暗まされたのだろう。 中巻は面白くないのではないかという予想に反して面白い。 登場人物はヴォルテールやディドロ、グリム氏?など多彩を極めるがルソーに言わせるとまるで碌でなしばかりである。 女性もデピネ夫人やデュパン夫人など、上巻のママンのヴァランス夫人と違い全く魅力がない。 (中巻か上巻か忘れたがヴェネツィアかどこかイタリア女とのエピソードは笑ってはいけないが大笑いである。 「日曜はダメよ」の監督はルソーのこのエピソードにヒントを得たのではないだろうか) 内縁の妻テレーズは20年も慎ましく愛らしくルソーに寄り添って幸福な時を過ごすが結末はもう知っている。 「まさか後にこの女が私に悪意を示し〜などルソーが前もって丁寧に伝えてくれているのだ。 ルソーの語りが終始この調子で 「その理由を今からお伝えしよう〜 「この男のことは後に話すが私は酷い目にあうのことになる など、 未来に対しての微妙な仄めかしのリフレインが読者を中途で投げ出させない。 時系列は割に適当であり、「その事は後に話そう」などと言っておきながら放置する場面も度々見受けられるが、全てに必ずしも整合性が取れていないところこそ真の人間の「告白」であるとも言える。 それにしても王朝万葉集や江藤淳を読みながら皇帝暗殺ドストエフスキーやルソーを読み耽り、内面はなんら引き裂かれず矛盾も感じない。 異なるイデオロギーをやすやすと超えスルーして読書できるのは私が女だからだろうか。 ※ テレーズとは晩年結婚するようで読み間違えたのだろうか。 確かにある意味テレーズは女性の理想形といえるから ドゥドト夫人はベルばらにあったエロイーズのジュリーのモデルらしいので期待したいがこれまでの「告白」の流れからそれは難しそう。 245ページ中途
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