人間不平等起原論改訳

岩波文庫

ジャン・ジャック・ルソー / 本田喜代治

1982年11月30日

岩波書店

924円(税込)

人文・思想・社会 / 文庫

かつて人間は不平等のほとんど存在せぬ自然状態にあったが、歴史的な進歩という頽落の過程をへてついには「徳なき名誉、知恵なき理性、幸福なき快楽」だけをもつ存在に堕する。それが専制社会における人間の悲惨なのだ、とルソー(1712-78)は論じ、同時代の社会と文化を痛烈に批判した。いまも現代人に根元的な思索をうながしてやまぬ書。

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Readeeユーザー

自然状態は社会状態よりも平等である。

starstarstarstar 4.0 2020年04月13日

自然状態ではほとんど無であった不平等が、人間の能力の発達と精神の進歩によって増大し、所有権と法理の制定によって固定し、正当化される。 文明化した社会状態にある我々は自然状態に近い原住民を暴力的で不平等であり、弱肉強食な社会であると考える。しかし、ルソーによると自然状態にある彼らは社会状態にある我々よりも平等であると主張する。 これで言われる自然状態とは他の動物と違わず、自己保存のみを目的として生きるため他者との関係を必要としない。そのため他者に無関心であるため最も平等な関係である。 他者との関わりがないため彼らが生み出した技術は子どもなどに継承されることはなく、言葉も必要なかった。そのため膨大な時間が過ぎて行ったが、現在は社会が形成されている。その要因に①偶然の外的要因②改善能力が挙げられる。ルソーは動物と人間を分かつ能力として環境に適応させる改善能力を主張している。 ルソーは不平等が生まれる段階を3つに分けている。 ①改善能力の発達 人口の増加などの偶然の外的要因によって人間の改善能力が現れ、仲間への協力や期待が生まれ、遊牧生活などが始まる。この頃が社会発展の初期段階であり、止まっていた時間が流れ始める。 ②他者との関係強化 他者との関係が促進されたため技術の進歩、言語の発展、生活様式の変化が起こる。 ルソーはこの段階が人間の理性と本能が均衡を保っているとして最も適した段階であると評価している。 ③分業の興り、強者と弱者の分極化 人類は社会的労働と私有制を特徴とする革命の時期に入る。この時代に食物の小麦と道具の鉄の農業と治金が始まり、分業が起こる。それにより前時代から「余剰」を生む生産の経済に移る。そのため所有の概念が強化され、富者と貧者、強者と弱者の社会的不平等が促進される。 ④契約 不平等の極点である専制政治に辿り着く。富者と貧者の戦争状態、収集のつかない無政府状態におちいる。=ホッブスの万人対万人の戦い。 この悲惨な無秩序に終止符を打つべく、少数の富者は主人なしに生きられない無知な民衆に、政治体の効用を説き、契約をすすめた。こうして弱者に新たなくびきを与え、富者の不当な利益を固定化し、自然の自由を破壊する私有と不平等の法律が作られた。こうして契約の国家が成立し、市民を家畜のように所有する者が絶対君主の国家まで到達する。 こうした流れの後専制主義の怪物が法律も人民も呑み込み「極度に盲目的な服従だけが奴隷に残された唯一の美徳となる」こうなると再度自然状態に戻ることになるが、かつての自然状態と社会化を経験した自然状態では異なる。

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