
ヘーゲルからニーチェへ 上
十九世紀思想における革命的断絶
岩波文庫 青693-2
レーヴィット / 三島 憲一
2015年12月16日
岩波書店
1,650円(税込)
人文・思想・社会 / 文庫
ヘーゲルの絶対精神の哲学を変革し逆転させたマルクスとキルケゴール。歴史的思考を永遠への憧憬によって転覆させたニーチェ。本書は19世紀のドイツ精神史に関する古典的著作。上巻ではヘーゲルからニーチェにかけて歴史がどのように哲学的に理解され、ありうる未来に向けて捉えられているのかという問いをめぐる議論が展開される。
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「現実」と「理性」の弁証法的融和とその解体
ヘーゲルにおいて、現実が理性的なものの自己実現と位置付けられていたところ、マルクスは史的唯物論による現実のみに閉じた弁証法を、キルケゴールは自己展開しえず絶望に至る精神を、それぞれ語る形でヘーゲル哲学を解体していったことがまず語られる。ヘーゲルにおいてバランスが取れていたものがその後分解されたのである。この分解がその後、ニーチェの此岸の現実における「存在」の排除と「生成」に徹底的に閉じた、永遠回帰の哲学に至ったとする。また、その「生成」の現実において、徹底的に自らの精神を肯定する「超人」を待望することとなる。
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