
いまどきの「常識」
岩波新書 新赤版969
香山 リカ
2005年9月21日
岩波書店
792円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
まえがき 1 自分の周りはバカばかり 篇── 「あの人はバカ」と言う自分はバカじゃない/世界の中心は自分/悪いのは私ではない/涙が切り札/少年事件には厳罰を 2 お金は万能 篇── 結局、お金がものをいう/現実には従うしかない/自分らしい仕事をしよう/ゆっくりしたい、ラクしたい 3 男女平等が国を滅ぼす 篇── 男は男らしく、女は女らしく/結婚しないと幸せになれない/三世代家族が子どもを守る/不倫は文化だ/ゆとり教育は失敗だった 4 痛い目にあうのは「自己責任」 篇── すべては「自己責任」の結果/ 「偉い人」には逆らうな/競争には勝たなければいけない/病気も障害も「負け組」/インフォームド・コンセントは患者を救う 5 テレビで言っていたから正しい 篇── ノーテレビデーで子どもを守れ/B型人間は自己中心的/人は死んでも生き返る/外国人は危険 6 国を愛さなければ国民にあらず 篇── 「平和」や「反戦」にとらわれるのは頭が古い証拠/ナショナリズムは普通で健全で自然/何よりも「国益」優先/過去にこだわるな/軍隊を持ってこそ「普通の国」だ/テロに屈するな/平和のためなら死んでもいい あとがき
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(無題)
皆んなが当然のごとく考えている事柄を常識という。しかし、常識と言うものの、私にはどうしても非常識にしか見えない事がある。そんな時の戸惑いは、どうやっても喉元から飲み込む事ができない。魚の骨が喉に突き刺さったような感じだ。 時間の経過とともに人々の意識が少しずつ変化し、やがて形を伴って目に見えるようになった時、その異質さに思わず目を奪われる事がある。 身近な例として言葉の使い方を取り上げてみよう。 この番組は普通におもしろい」 「この食べ物は普通においしい」 「普通」をこんな風に使っている事に違和感を覚える人は普通である。この例は、初めは誤用されていたのに、それらの人が大多数になるに及んで、全く違和感なく使われるようになったものだ。「真逆」なんて言葉も今ではアナウンサーも平気で使っているが、コレを聞くと私なぞ、どうにもお尻のあたりがモゾモゾしてくる。 本書は精神科医・香山リカが、最近の世の中に定着しつつある30の「いまどきの常識」をとりあげ、それらの世相に精神科医的アプローチを試みている。新書の形態をとっているが、どちらかといえば、世相診断的エッセイと言って良い内容だ。取り上げられている「常識」は政治・国家的テーマから日常生活における家庭・家族、あるいは仕事やお金と多岐に渡る。私が読んでいて最も気になったのは、著者が「自己肯定」という言葉を使うくだりである。著者がこの言葉を使う場面では、人々の自己承認欲求が歪められた形で現出しているからだ。日本文化は自己肯定意識が大変に低いところに特色があると言われる。それは、アンケート調査からも明らかである。かつての日本人は、自己否定の強い文化の中でも生きていける強い精神性を備えていた。しかしながら、現代の日本人は「そのままで良いんだよ」と誰かに言ってもらえなければ、壊れてしまうほどの脆さと危うさをはらんでいる。だから、それを克服する為に他人を誹謗したり、殊更声高に自己主張したりして社会や他人に自己承認欲求を突きつけるのだそうだ。この著者の分析は、いかにも精神科医的であるばかりか大変に独創的でもある。着想が面白い。
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