ノモンハン戦争
モンゴルと満洲国
岩波新書
田中克彦
2009年6月30日
岩波書店
924円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
一九三九年のノモンハン戦争は、かいらい国家満洲国とモンゴル人民共和国の国境をめぐる悲惨な戦闘の後、双方それぞれに二万人の犠牲をはらって終結した。誰のため、何のために?第二次大戦後、満洲国は消滅して中国東北部となり、モンゴルはソ連の崩壊とともに独立をまっとうした。現在につながる民族と国家の問題に迫った最新の研究。
みんなの評価(2)
starstarstarstar 4読みたい
2
未読
4
読書中
1
既読
16
未指定
16
書店員レビュー(0)書店員レビュー一覧
みんなのレビュー (2)
(無題)
辻は、ノモンハン戦を拡大し続け、停戦後は国境確定の交渉すらもぶち壊そうとした。また第二次大戦では、悲惨な南方作戦を企画し、敗戦後は戦犯としての追及を逃れるために、僧侶になりすまして東南アジア各地に潜伏した。 辻信正は、英軍の追及を逃れたタイなどに身を潜め、千九百四十八年日本に帰国した後、五〇年に『ノモンハン』『潜行三千里』『ガダルカナル』などベストセラーを書き、五二年、故郷の石川県一区から衆議院議員として立候補して最高点の票を得て当選し、今度は政治家として生まれ変わった。五五年には、ソ連と中国から招かれた三八人の国会議員の一人として訪問団に加わっている。 辻は、自らを「逃避潜行した卑怯者」として、「その罪の万一をも償ふ道は、世界に魁けて作られた戦争放棄の憲法を護り抜くために…余生を捧げる」とその著書に書いた。 そして代議士になるや否や、「憲法を改めて祖国の防衛は国民の崇高な義務であることを明らかに」すべきであると訴えるようになった。 辻は、並みの日本人から抜き出た印象深い発言や行動で人々の支持を得て、時代に巧みに適合していった。その才能は一種独特の魅力によって支えられていたであろう。 辻政信━この人は並みでない功名心と自己陶酔的な冒険心を満足させるために、せいいっぱい軍隊を利用した。そうして戦争が終わって軍隊がなくなると、日本を利用し、日本を食いものにして生きてきたのである。 私たちが、占領軍としてではなく、日本人として裁かなければならないのは、このような人物である。このような人物は、過去の歴史の中で消えてしまったわけでは決してない。今もなお日本文化の本質的要素として、政界、経済界のみならず、学界の中にまで巣くっているのである。 pp.230-231
全部を表示ー部を表示いいね0件
close
ログイン
Readeeのメインアカウントで
ログインしてください
Readeeへの新規登録は
アプリからお願いします
- Webからの新規登録はできません。
- Facebook、Twitterでのログイ
ンは準備中で、現在ご利用できませ
ん。
X
LINE
楽天ブックスサイト
楽天ブックスアプリ
Readeeユーザー
(無題)
辻は、ノモンハン戦を拡大し続け、停戦後は国境確定の交渉すらもぶち壊そうとした。また第二次大戦では、悲惨な南方作戦を企画し、敗戦後は戦犯としての追及を逃れるために、僧侶になりすまして東南アジア各地に潜伏した。 辻信正は、英軍の追及を逃れたタイなどに身を潜め、千九百四十八年日本に帰国した後、五〇年に『ノモンハン』『潜行三千里』『ガダルカナル』などベストセラーを書き、五二年、故郷の石川県一区から衆議院議員として立候補して最高点の票を得て当選し、今度は政治家として生まれ変わった。五五年には、ソ連と中国から招かれた三八人の国会議員の一人として訪問団に加わっている。 辻は、自らを「逃避潜行した卑怯者」として、「その罪の万一をも償ふ道は、世界に魁けて作られた戦争放棄の憲法を護り抜くために…余生を捧げる」とその著書に書いた。 そして代議士になるや否や、「憲法を改めて祖国の防衛は国民の崇高な義務であることを明らかに」すべきであると訴えるようになった。 辻は、並みの日本人から抜き出た印象深い発言や行動で人々の支持を得て、時代に巧みに適合していった。その才能は一種独特の魅力によって支えられていたであろう。 辻政信━この人は並みでない功名心と自己陶酔的な冒険心を満足させるために、せいいっぱい軍隊を利用した。そうして戦争が終わって軍隊がなくなると、日本を利用し、日本を食いものにして生きてきたのである。 私たちが、占領軍としてではなく、日本人として裁かなければならないのは、このような人物である。このような人物は、過去の歴史の中で消えてしまったわけでは決してない。今もなお日本文化の本質的要素として、政界、経済界のみならず、学界の中にまで巣くっているのである。 pp.230-231
全部を表示いいね0件