
(株)貧困大国アメリカ
岩波新書 新赤版1430
堤 未果
2013年6月27日
岩波書店
1,056円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
「1%vs99%」の構図が世界に広がるなか、本家本元のアメリカでは驚愕の事態が進行中。それは人々の食、街、政治、司法、メディア、暮らしそのものを、じわじわと蝕んでゆく。あらゆるものが巨大企業にのまれ、株式会社化が加速する世界、果たして国民は主権を取り戻せるのか!?日本の近未来を予言する、大反響シリーズ待望の完結編。
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(無題)
本書は、アメリカの問題を詳細に明らかにすることで、アメリカのみらなず、世界がどこに行こうとしているのか、あるいは、アメリカを反面教師とすれば、我が国の進むべき道も自ずから見えてくるというものです。 私が若者と呼ばれていた頃、フルブライト留学生という制度があり、この制度で留学してアメリカ文化に触れ、アメリカのシンバとなっている人々はかなりの数に上るのではないでしょうか。正にアメリカの思惑通りですが、この当時のアメリカは豊かで懐が深く親しみに溢れていました。それは、留学生を受け入れてくれた家庭の表情でもありました。その家庭は、ごくごく普通の中流家庭でした。当時のアメリカの繁栄の主流を担っていたのは、中流家庭でした。それから数十年、現在のアメリカは中流階級が崩壊し1%の富裕層と99%の貧困層とに二極化していると言われますが、アメリカで何が起きているのでしょうか。 本書の記述に沿って実態を見て行くことにしましょう。まずSNAP(Suplemental Nutrition Assistance Program)が紹介されています。これは低所得層や高齢者、障害者や失業者などに提供する食糧支援プログラムのことです。増え続けるワーキングプアと失業者の数に連動してSNAP受給者は年々増加し続け、今では国民の7人に1人がSNAPに依存しているとのことです。 おかしなことには、財政難に悩む米国政府はUSDA(米国農務省)の予算の半分以上を占めるSNAPをもっと受給するよう、国民に呼びかけているのだそうです。いかに民主党と雖も雇用対策より生活保護対策を優遇するのはなぜか、その理由を知るためには、政府の後ろに控えるずっと大きな力をもつ集団の存在を理解しなければなりません。それは、端的に言うならば食品・製薬・金融業界において世界を舞台に圧倒的な支配力をもつ「多国籍企業」です。 それらの存在は、この国の権力構造を根底から変質させているもう一つ巨大な流れであり、国境を越え、確実に勢力を伸ばしながら、世界をのみ込もうとしているのです。主権は確実に国家から多国籍企業に移りつつあるようにみえます。今、いかなる論理によって世界は牽引されているのか、国家という枠組みから大きく外れたところで世界が動いています。それは新自由主義を超えたポスト資本主義の新しい枠組み、コーポラティズム(政治と企業の癒着主義)に他なりません。国民の主権が暴力や軍事力によって奪われてきたのが人類の歴史でした。しかしながらコーポラティズムの最大の特徴は、政治と癒着した企業群によって主権が合法的に奪われることにあります。それは極めて巧妙で気がついた時には、すでに手遅れともなりかねません。我が国は、これを他山の石とすべきでしょう。
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