〈運ぶヒト〉の人類学

岩波新書 新赤版1502

川田 順造

2014年9月19日

岩波書店

792円(税込)

人文・思想・社会 / 新書

1 なぜ、「運ぶヒト」か?  ヒトはアフリカで生まれ、世界にひろがった  アフリカを出たとき、どうやってものを運んだのだろう?  直立二足歩行が、「運ぶ」ことを可能にした  直立二足歩行のはじまりは?  頭蓋骨から推定できる二足歩行  だが、そもそもヒトのはじまりは?  これもヒトだけの特徴「二重分節言語」  では、ホモ・ポルターンスを研究する方法は? 2 文化の三角測量  文化を比較する二つの方法  轆轤を逆にまわす  日本での琵琶の普及  風が吹けば桶屋が儲かる   「はたらく」よろこび? それとも経済外的強制?  労働をねぎらい、励ます言葉が豊かなモシ社会  自己主張のつよさ  市で活き活きとするヨメたち  地縁組織の弱さ  人間と道具の関係で比較すると  アフリカ式溶鉱炉  夏雨型農耕と冬雨型農耕  前屈したままでの除草の方がラク?  冬雨型のフランスではアザミ除去に一苦労  文化の比較から、「身体技法」の比較へ 3 「身体技法」としての運び方  身体と文化  身体技法の集合としての「おこない」  モノとのかかわりでの身体技法   「運ぶ文化」にとっての生態学と働態学  二重分節言語の条件  運ぶ行為における、身体と道具  西アフリカ黒人の身体特徴  育児法などとの関連  運搬法にみる三つの指向性  前頭帯運搬の系譜は  黒人、白人、黄人にみる運搬具の共通点と差違 4 「技術文化」と運搬法  技術文化の指向性  ヒトと道具──三つのモデル  道具をまたがない日本の職人  前頭帯と棒運搬をめぐる文化  石器文化の西と東、竹の文化は?   「朸」が提起する問題  棒でかつぐ運搬の日本での異常な発達  中国でも多様だった棒運搬  三文化における「履き物」  背負い運搬における重心の高低  人力以外の動力活用への指向  日本の川船輸送との比較で  蒸気機関以後 5 「運ぶヒト」のゆくえ  はじめどうやってモノを運んだか、再び  頭上運搬の移り変わり  より効率のよい運び方へ  現代日本における身体技法   「ナンバ歩き」   「グローバル化」とは?  グローバル化のはじまり  進歩をめぐる楽観から、先の見えない悲観へ  エスニックとグローバルのあいだ  モノ運びの仮想パレード  メキシコの少年らのグループ  フランスのグループ  いま、アフリカでは   「運ぶヒト」の原点に帰って 参考文献 図版出典一覧

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