文学が裁く戦争

東京裁判から現代へ

岩波新書 新赤版 1996

金 ヨンロン

2023年11月21日

岩波書店

1,056円(税込)

人文・思想・社会 / 新書

文学は戦争を抑止するために何ができるのか。連合国による戦争裁判が終結した後も、日本文学は、法が裁けなかった罪を問い直し、戦争の暴力に向き合い続けてきた。一九四〇年代後半から現在まで、時代の要請のもとに生み出されてきた、戦争裁判をテーマとした主要な作品と作家を取り上げて、新たな文学史を描く。  はじめに 第一章 東京裁判と同時代作家たち  1 傍聴人としての作家たちーー川端康成、大佛次郎  2 裁判が残すものーー中山義秀、中野重治、宮本百合子  3 文学の前景としての戦争裁判ーー梅崎春生、久生十蘭、林芙美子 第二章 BC級裁判が突きつけたもの(一九五〇年代)  1 スガモプリズンの群像ーー火野葦平『戦争犯罪人』と安部公房「壁あつき部屋」  2 BC級裁判と女性たちーー大原富枝「巣鴨の恋人」と樋口茂子『非情の庭』  3 捕虜問題とレイシズムーー遠藤周作『海と毒薬』と大江健三郎「飼育」 第三章 裁かれなかった残虐行為(一九六〇年代)  1 アメリカの残虐行為を問うーー堀田善衞『審判』  2 植民地支配責任を問うーー小田実「折れた剣」 第四章 ベトナム戦争とよみがえる東京裁判(一九七〇年代)  1 舞台で再演される東京裁判ーー木下順二『神と人とのあいだ』  2 推理小説が再召喚する戦犯ーー松本清張「砂の審廷」  3 伝記小説が再召喚する戦犯ーー城山三郎『落日燃ゆ』 第五章 経済大国と混迷する戦争裁判観(一九八〇年代)  1 ノンフィクションの時代と戦争裁判観の更新ーー大岡昇平『ながい旅』  2 「勝者の裁き」論から「東京裁判史観」へーー江藤淳『閉された言語空間』  3 ポスト戦後文学ーー村上春樹「羊をめぐる冒険」 第六章 記憶をめぐる法廷(一九九〇年代から二〇〇〇年代)  1 戦時性暴力の証言と文学ーー川田文子の聞き書き  2 普通の人々を巻き込む再審ーー井上ひさしの東京裁判三部作 第七章 戦争裁判と文学の今と未来(二〇一〇年代以降)  1 戦争裁判を描いた日本文学の現在  2 再審としての読みーー世界文学へ  おわりに  主要参考文献  図版出典一覧  あとがき  略年表

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