〈一人前〉と戦後社会

対等を求めて

岩波新書 新赤版 2010

禹 宗杬 / 沼尻 晃伸

2024年3月22日

岩波書店

1,166円(税込)

人文・思想・社会 / 新書

〈一人前〉としてふるまう。すなわち、話し合いを通して他者と対等にわたりあい、自らの価値と地位を向上させた人びとが、戦後社会を築いてきた。向上にこだわる社会は、ありのままの人を認めないまま、生きづらい現在にいたる。働く場と暮らしの場の声を拾い上げながら、歴史の流れをつかみ、隘路を切りひらく方途を探る。 序 章 「一人前」が容易ではなくなった社会で  一 生きづらい社会  二 「一人前」を問う 第一章 目覚めと挫折ーー戦前の営み  一 人格承認要求と大正・昭和  二 上層労働者だけが「一人前」  三 権利なきなかでの要求  四 「お国のため」の社会ーー小括 第二章 飛躍と上昇ーー敗戦〜一九七〇年代  一 人並みに生きたいーー戦後改革と「一人前」  二 「同じ労働者」として  三 「市民」として、「人間」として  四 人並みを話し合いで勝ち取った社会ーー小括 第三章 陶酔と錯覚ーー一九七〇年代〜一九九〇年代  一 「日本的」なるものと新たな「価値」の噴出  二 企業での「自己実現」  三 「連帯」から「女縁」へ  四 企業に傾倒した社会ーー小括 第四章 多様化と孤立ーー一九九〇年代〜現在  一 迷走する政府ーーパッチワーク的な政策  二 非正規労働者は「半人前」?  三 「自分らしさ」とは?  四 中間団体をなくし「自己責任」が独り歩きする社会ーー小括 終 章 新たな「一人前」を求めて  あとがき  参考文献

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