昭和天皇・マッカーサー会見

岩波現代文庫 学術193

豊下 楢彦

2008年7月16日

岩波書店

1,210円(税込)

人文・思想・社会 / 文庫

戦後史の謎であり続けた全一一回の極秘会談。二人が何を話したのか、その核心部分が、著者が解説した膨大な未解明の新資料によって初めて明らかにされた。両者の会談のみならず全米に対する昭和天皇の外交を精緻に描き出した本書は、戦後レジーム形成に天皇が極めて能動的に関与した衝撃の事実を描き出し、従来の昭和天皇像、戦後史観を根底から覆す。

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Readeeユーザー

(無題)

-- 2018年01月21日

本書から読み取りたかったのは、沖縄における米軍の占領が「25年から50年、あるいはそれ以上にわたる長期の貸与というフィクション」のもとで継続されることを望むという、昭和天皇の沖縄メッセージの詳細を知りたいがためであった。ところが、それどころかこの本は、昭和天皇に関してとんでもない事実を次々と明かしている。 現代の国民は、昭和天皇に物静かで学者然としたイメージを抱いていると思われる。それは、どうやら周りが作り出したもののようで、実際にはかなり政治的な行動が多かったようだ。いや、それどころか戦後レジュームの構築に決定的な役割を果たしていたのだった。昭和天皇の想いは「天皇制の存続」であり、これを否定する共産主義から国を守るには武力の放棄を憲法に定めている以上、米国の軍隊に頼るしか無いと考えたのだった。今に至る日米安保の枠組みはここから始まったのだ。 「私は、国民が戦争遂行に当たって政治、軍事両面で行った全ての決定と行動に対する全責任を負う者として、私自身を貴方の代表する諸国の裁決にゆだねるためにおたずねした」。マッカーサー回顧録における天皇との第1回会見での、昭和天皇の発言である。有名なこの一節が一人歩きして、やがて国民の間に屹立して高潔な昭和天皇の人格が定着していったのだった。ところが本書では、この天皇発言をマッカーサーの創作である、と他資料を引用して証明している。それによると、天皇の戦争責任について昭和天皇は、開戦の責任を東条英機に負わそうとしていた事が見えてくる。いま定着している「天皇は戦争に反対であった」「平和主義者であった昭和天皇」が全くの虚構である事が明らかになるのだった。 このように、天皇とマッカーサーの会見は極めて政治的な色合いの濃いものだった事がわかる。さらには、昭和天皇はマッカーサーの頭越しに「講和問題」の決着にさえ介入している。これはもはや「象徴天皇」域を完全に踏み外している行為だ。昭和天皇はなぜそこまで踏み込んだ政治行動をなしたのだろうか。それは、ひとえに天皇制を存続させるところにあり、国民の幸せを願ってのものでは無い事が明確だ。

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