セクシィ・ギャルの大研究
女の読み方・読まれ方・読ませ方
岩波現代文庫 学術217
上野 千鶴子
2009年5月15日
岩波書店
1,100円(税込)
人文・思想・社会 / 文庫
もの欲しげな目に半開きの唇、しなりくねらせた肢体。世に流布するお色気広告を、ズバリ分析。社会が演出し、女に演技を求めている「女らしさ」、男が演技したがっている「男らしさ」の実態を大胆に、そして軽妙な筆致であばき出す。男女共にまとう「社会的衣服」を身ぐるみはがされる、キケンで快感一杯の“処女喪失作”。
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(無題)
上野千鶴子といえば、「アグネス論争」での颯爽とした論客ぶりが鮮烈な記憶と共に長い間尊敬の対象として私の心の中で揺るぎない地位を占めていた。歌手・タレントのアグネス・チャンが出産した。彼女がその直後に乳児を連れてテレビ番組の収録スタジオにやってきたことがマスコミに取り上げられ、林真理子、中野翠などから「大人の世界に子供を入れるな」、「周囲の迷惑を考えていない」、「プロとして甘えている」といった点で痛烈に批判された。これに対して上野千鶴子は『朝日新聞』紙上で「働く母親の背中には必ず子供がいるもの」としてアグネスを擁護した。この上野の発言によりアグネス批判派に傾きかけていた流れが、一気に逆向きになった。 上野への思い入れが僕の心から消えたのは、ここ3年ほど前のことである。それは彼女の著書「ケアの社会学」を読んだときのことだった。この本は上野のフィールほドである社会学の対場から介護を論ずるものであった。あらゆる動物は子育てはするが、介護をするのは人間だけである。この点に関してその理由を論考した書物を私は浅学にして知らない。上野は果敢にも社会学の立場からこれに挑戦したのだった。上野は人はなぜ老人介護するかという根本的な疑問に「生命の廃棄・処分」と答えている。上野らしく明快に断言しているのは好もしいのだが、その論旨は予想を裏切るどころか私を深い悲しみに導くものだった。こうして私の心は上野から離れた。 それがどうして再び上野千鶴子か、というと、図書館で面白そうな本がないかと探していたところ、たまたま目に付いたのがこの本で著者が上野千鶴子だったという次第。表紙イラストとこの書名、男心をそそらずにはいられない。編集者の勝ちだ。全くいつまでたっても何を考えてるんだか。自分に腹だたしい。内容はどうせフェミニストの立場から男をこき下ろしていると見当がついてるというのに。 本書が刊行されてからすでに30年以上経過している。本書中で引用されている歌手やタレントには無論古さを感じるが、内容的には今読んでも新鮮だ。むしろ上野のイキの良さがよく現れている。そうは言っても30年前の社会分析である。男と女の有り様がここまで変わるとは想定外だろう。この当時、男はやりたくてやりたくたまらない存在だった。ところが今は草食系男子。女も目を伏せて控えめにしていれば、男が声をかけてくれた。今は少しでも条件の良い男子を求めて婚活だ。そんな時の移ろいを脇に置いて面白く読める本だ。
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