闇の虹水晶
乾石智子
2012年12月7日
朝日新聞出版
1,980円(税込)
小説・エッセイ
一世代に一人だけ現れるという、「創石師」のナイトゥル。人の感情を靄に見て両手のひらに包めば石を創ることができるという稀有な魔力を持ちながら、隣の部族の侵攻によって、家族や婚約者、血族のすべてを失い、恨みや憎しみといった感情までも奪われ、敵のために自らの命を削ってその力を使う日々を送っていた。だが、闇色に七色の虹をちりばめた水晶を手にした日から、その運命は急激にまわりはじめるー。
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(無題)
魔道師シリーズとは別の国の話であるようだが、同じ名前の動植物が出てくるあたり、世界観は共通しているのかもしれない。魔道師シリーズのコンスル帝国は勝手にローマ帝国っぽいと思っているのですが、創石師のナイトゥルを主人公とした本作はむしろ雰囲気からも、駱駝や砂漠、オアシスなどが出てくることからも、アラブ世界とか中央アジア辺りをモデルとしていそう。 構成力と表現力(文章力)という点では、本当に群を抜いて巧い作家さんだと思う。中盤、物語が動き始めてからは面白いようにぐいぐい引き込まれる。 無駄のない物語の構成、それを表現する文章力と筆力。今後の活躍が楽しみなような、少しこわいような。会話文が苦手? みたいなことを前のレビューで書いたけれど、本作では随分改善されている感じがする。地の文におけるイメージと色彩豊かな描写は相変わらず、どころか、ますます凄みを増している感。表現をメモしながらの読書になったので、けっこう時間かかっちゃいました(笑)。 基本的にキャラ小説的ではないので、そういったものを求めて読むには、少しつらいかも。洋ものファンタジー好きにはこの方の書かれるものはたまらないです。翻訳ものは訳者の力量に左右されることが多く、内容は面白いが、いかにも翻訳ですーという感じの文体が辛いことがあるので。その点でも日本語で書かれた質の高い文章を読めるのは、本当に幸運だと思う。何度も読み返しながら味わうように読みたい。
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(無題)
魔道師シリーズとは別の国の話であるようだが、同じ名前の動植物が出てくるあたり、世界観は共通しているのかもしれない。魔道師シリーズのコンスル帝国は勝手にローマ帝国っぽいと思っているのですが、創石師のナイトゥルを主人公とした本作はむしろ雰囲気からも、駱駝や砂漠、オアシスなどが出てくることからも、アラブ世界とか中央アジア辺りをモデルとしていそう。 構成力と表現力(文章力)という点では、本当に群を抜いて巧い作家さんだと思う。中盤、物語が動き始めてからは面白いようにぐいぐい引き込まれる。 無駄のない物語の構成、それを表現する文章力と筆力。今後の活躍が楽しみなような、少しこわいような。会話文が苦手? みたいなことを前のレビューで書いたけれど、本作では随分改善されている感じがする。地の文におけるイメージと色彩豊かな描写は相変わらず、どころか、ますます凄みを増している感。表現をメモしながらの読書になったので、けっこう時間かかっちゃいました(笑)。 基本的にキャラ小説的ではないので、そういったものを求めて読むには、少しつらいかも。洋ものファンタジー好きにはこの方の書かれるものはたまらないです。翻訳ものは訳者の力量に左右されることが多く、内容は面白いが、いかにも翻訳ですーという感じの文体が辛いことがあるので。その点でも日本語で書かれた質の高い文章を読めるのは、本当に幸運だと思う。何度も読み返しながら味わうように読みたい。
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(無題)
魔道師シリーズとは別の国の話であるようだが、同じ名前の動植物が出てくるあたり、世界観は共通しているのかもしれない。魔道師シリーズのコンスル帝国は勝手にローマ帝国っぽいと思っているのですが、創石師のナイトゥルを主人公とした本作はむしろ雰囲気からも、駱駝や砂漠、オアシスなどが出てくることからも、アラブ世界とか中央アジア辺りをモデルとしていそう。 構成力と表現力(文章力)という点では、本当に群を抜いて巧い作家さんだと思う。中盤、物語が動き始めてからは面白いようにぐいぐい引き込まれる。 無駄のない物語の構成、それを表現する文章力と筆力。今後の活躍が楽しみなような、少しこわいような。会話文が苦手? みたいなことを前のレビューで書いたけれど、本作では随分改善されている感じがする。地の文におけるイメージと色彩豊かな描写は相変わらず、どころか、ますます凄みを増している感。表現をメモしながらの読書になったので、けっこう時間かかっちゃいました(笑)。 基本的にキャラ小説的ではないので、そういったものを求めて読むには、少しつらいかも。洋ものファンタジー好きにはこの方の書かれるものはたまらないです。翻訳ものは訳者の力量に左右されることが多く、内容は面白いが、いかにも翻訳ですーという感じの文体が辛いことがあるので。その点でも日本語で書かれた質の高い文章を読めるのは、本当に幸運だと思う。何度も読み返しながら味わうように読みたい。
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