聖なる怠け者の冒険
文庫
森見登美彦
2016年9月7日
朝日新聞出版
704円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
社会人2年目の小和田君は、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら夜更かしをすることが唯一の趣味。そんな彼の前に狸のお面をかぶった「ぽんぽこ仮面」なる人物が現れて…。宵山で賑やかな京都を舞台に果てしなく長い冒険が始まる。著者による文庫版あとがき付き。
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イヤになるほど怠ければいい
むかーしむかし。といっても、それでもむかしではないのである。 京都に怪人が現れた。そいつは虫食い穴のあいた旧制高校マントに身を包み、ステキに可愛い狸のお面をつけていた。 そんなかっこうをした人物が白昼に裏路地でうごうごしていたら、手間ひまを惜しまぬ正義の人は迷わず通報するだろう。 「怪人というからには悪事を働いてしかるべきだ。そうとも」 はやまりたもうな。怯える京都一般市民をしり目に、怪人は黙々と活躍をつづけた。泣いた迷子を祖母のもとへ連れていき、銃撃戦一歩手前の夫婦喧嘩を仲裁する。怪人は意外にも「いいやつ」だったのである。 そんな冒頭で始まるので、大冒険のはじまりはじまりぃ~・・・・・ かときや、森見ワールドはそうはいきません。ふわふわと浮いている、なんともいえぬ倦怠感。ああ、気がつけばいつもみんな怠け者になっている。なんて不思議な世界でしょう。 主人公が呆れるくらい怠ける一方で、正義の味方ぽんぽこ仮面が一生懸命頑張ります。ぽんぽこ仮面はこれまで街中の困っている人間を助けてきたヒーロー、だけれども、最後にはなんだかんだひっぱられて・・・。主人公なのに怠け者。正義の味方なのに逃亡者。迷走を続ける探偵さん。でてくるでてくる癖のある登場人物たち。 読んだ後はあなたも全身の力が抜けて、もふもふのお座布団の山の中にダイブしたくなるでしょう。やらなきゃならないことだって「明日にしよう」と、内なる怠け者が囁くでしょう。 「イヤになるくらい怠ければいい」 諸君。かくして聖なる怠け者たちの充実した土曜日が終わり、、、日曜日が始まる。
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