鹿の王 下
上橋菜穂子
2014年9月24日
KADOKAWA
1,760円(税込)
絵本・児童書・図鑑 / 小説・エッセイ
不思議な犬たちと出会ってから、その身に異変が起きていたヴァン。何者かに攫われたユナを追うヴァンは、謎の病の背後にいた思いがけない存在と向き合うことになる。同じ頃、移住民だけが罹ると噂される病が広がる王幡領では、医術師ホッサルが懸命に、その治療法を探していた。ヴァンとホッサル。ふたりの男たちが、愛する人々を守るため、この地に生きる人々を救うために選んだ道はー!?
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読み終えました。いやー、長かったです。何しろ登場人物の多さ、目まぐるしく変わる舞台で読んでいる自分がどこにいるのか、見失ってしまいがちでした。それでもこの小説が生命とは何か、このテーマに身体面からアプローチしているのは、見失わずに読了できました。生命を蝕む病とは何かが明らかになったくるのは、ヴァンとホッサルが巡りあってからでした。 それは医者であるホッサルにヴァンが問う形をとって明らかになっていきます。ヴァンを始め病に罹らなかった人は、黒狼熱の病素を抑える効果があるものを摂取していたことが分かってきます。また、東乎瑠帝国の侵略とともに森の環境が変わってしまったことが黒狼熱の一因でした。さらに火馬の死因は、麦を食べたことではなく、移住民が開拓してから時がたっていた為、地衣類から得ていたはずの耐性がなくなっていた事も影響していました。また、ヴァンは犬に噛まらてから、並外れて敏感な嗅覚と人を噛む衝動が抑えられず、まるで自身も犬達の仲間であるかのように感じていました。またユナには病素を抑え込む力があるものが光って見えていました。ホッサルをもってしてもその理由を突き止めることはできませんでしたが、特効薬の制作に協力をしようと約束をするふたりでした。 さて、黒狼病が細菌による伝染病であることが明らかになり、治療法が確立されていなければ、この細菌をコントロールして世の中を支配しようと考える者が出てきます。貧者の核兵器との言葉がありますね。生物兵器のことです。この物語にもそんな企てをする人間が現れます。狂信的な火馬の民で肉親を惨殺されたシカンです。しかし、ことはそんなに単純ではありませんでした。シカンには黒幕がいたのです。それはなんとホッサルの祖父・リムエッルでした。彼の深慮遠謀はどこにあったのでしょうか。 本書クライマックスに至って鹿の王となったヴァンは帰るべきところに帰って行きました。そして彼を愛する者たちも後に続くのでした。
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sai。m(_ _)m
目に見える様な世界
獣の奏者以来の、上橋菜穂子体験。 前回も感じたことだが、 読み始めてすぐに開けていく視界。 なんでこんなにもあっさりと世界を想起させてくれるんだろう。描写が巧みなのか、導入部の持っていき方が素晴らしいのか。 空想世界ではあるが、極めて現実的であり、 しかし、極めて物語的。 最後、物語の終わりを寂しく思う自分がいる。 国の歴史から勢力図、民族の関係性など、若干理解が追いつかずややこしさを感じつつも、物語の本質はスッと入ってくる。 とにかく、ヴァンがカッコ良すぎる。
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