代償
角川文庫
伊岡 瞬
2016年5月25日
KADOKAWA
880円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
平凡な家庭で育った小学生の圭輔は、ある不幸な事故をきっかけに、遠縁で同学年の達也と暮らすことに。運命は一転、過酷な思春期を送った圭輔は、長じて弁護士となるが、逮捕された達也から依頼が舞い込む。「私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。私の弁護をしていただけないでしょうか」。裁判を弄ぶ達也、巧妙に仕組まれた罠。追いつめられた圭輔は、この悪に対峙できるのか?衝撃と断罪のサスペンスミステリ。
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腐れ縁の呪縛
starstarstar 3.7 2020年04月08日
star
小学生6年のときに火事で両親をなくし、苦手としていた叔母さんの家に行くことに。施設を選択することもできたはずなのに、叔母言われるまま流され居候の身になる。これが僕の人生最大の選択の失敗だった。肩身の狭い空間で息を潜め中学3年間を未来も見えないままひっそりと過ごす。
ある人の手助けもあり中学卒業とともに家を出て、大学を出て司法試験に受かった僕は細々と弁護士活動をしていた。そんな僕に指名がかかる。中学3年間一緒に暮らした叔母さんの息子達夫を無罪となる証拠もほぼなく有罪は確定の裁判で無実にすることだ。
この世でものすごく嫌いな人の弁護をしなければならない。二度と関わりたくないと思ってた人物、できれば有罪になって2度と塀の向こう側から出てこないでほしいと心の奥底から思う人物、でも昔の弱みをちらつかせられ弁護させられるハメに。とことん不運な僕なんだなと泣きそうになる。
しかし事件を調べれば調べるほど不可解なことが見えてくる。自分の両親は事故ではなく殺されたのか?事件の裏に隠された深い闇とは?
人を操り人が破滅していくさまを快楽とする人間はこれほどまでに狡猾なのか。人は他人の言葉になぜこんなにも簡単に信じてしまうのか。強い人間でも弱る時期はある。そういう時を狙われてはひとたまりもないのだと怖くなった。はまり込んだら出ては来れない一種の宗教みたいな感じで恐ろしい。
この事件で後ろ向きな考えしかできなかった僕が、少しだけど前向きになれた気がする。
いつか僕が達夫の呪縛から完全に逃れることができればいいなと思う。
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(無題)
starstarstarstar 4.5 2019年10月12日
star
前半(1部)は少年圭輔が達也と出会い、そしてどん底に突き落とされていく読みは進めるのが辛い悲惨な少年時代が語られている。何度も涙腺が緩んでしまった。後半は成人した圭輔が弁護士となりそして再び達也と絡んでしまい、過去の事件を紐解いていく。
圭輔の人生で両親を早くに亡くすのは悲劇に違いないけど、寿人と出会えたことが最大の喜びでありその後の影響は感謝してもしきれないだろう。2人の友情が暗い物語に明るい材料になっている。
冷静な圭輔が弁護士の資格をその明瞭な頭脳だけでなく適正もあると思える。まだまだ感情をコントロールしきれない駆け出しの弁護士を先輩女性弁護士という存在も少なからず明るいエッセンスとなっている。それにしても直接手を汚さない極悪人、他人をマインドコントロールしてしまい策略家の達也みたいな奴とは人生で出会ってしまったら不幸の始まりだ。ラストはタイトルにピッタリで終わった。
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しおたろう
正義は勝つ
前半は報われない少年期を描いており、モヤモヤしますが 後半で報われます。
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