
天翔ける
葉室 麟
2017年12月26日
KADOKAWA
1,760円(税込)
小説・エッセイ
この男無くして、明治維新は無かった! 坂本龍馬、西郷隆盛も信頼を寄せ、唯一、旧幕府と新政府、両者で要職に就き時代を動かした幕末四賢侯の一人、 松平春嶽を描く歴史長編! 文久3年(1863)。 北陸の要・越前福井藩の家中は異様な緊迫感に包まれていた。 京の尊攘派激徒を鎮めるべく、兵を挙げて上洛すべきか否か。 重大な決断を迫られた前藩主・松平春嶽が思案をしている折、幕府の軍艦奉行並・勝海舟の使いが来ているとの報せがあった。 使いは浪人体のむさくるしい男だという。 名は、坂本龍馬。 彼の依頼を即決した上で、上洛についての意見を聞いた春嶽はーー。 旧幕府にあって政権を担当し、新政府にあっても中枢の要職に就いた唯一の男、松平春嶽。 日本を守るため、激動の時代を駆け抜けた春嶽の生涯を描いた歴史長編!
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本書は松平春嶽の伝記小説である。春嶽の本名は慶永、御三卿・田安家の第3代当主・徳川斉匡の八男、将軍・徳川家慶の従弟である。英邁な藩主で、幕末四賢侯の一人とうたわれた。薩摩藩主・島津斉彬、土佐藩主・山内容堂、宇和島藩主・伊達宗城そして福井藩主・松平春嶽の四人である。 薩摩藩の富国強兵に成功した幕末の名君として名高い斉彬に春嶽は、あたかも師と仰ぐごとく接した。また大政奉還の建白を推進した人物として有名な容堂とは、友人として人材登用のアドバイスに従った。横井小楠を得て藩財政の再建に成功、さらに股肱之臣・橋本左内の登用などである。春嶽は「我に才略無く我に奇無し。常に衆言を聴きて宜しきところに従ふ」人材登用の理由をこう述べている。謙虚で野心の無い性格が表れている言葉だ。 春嶽は松平の姓が示す通り、徳川一門である。若くして俊秀ぶりが認められ、それだけに幕閣での活躍を早くから期待された。しかしながら13代将軍・家定の将軍継承問題で井伊直弼に破れ失脚した。さらに安政の大獄に至り腹心・橋本左内も刑死してしまった。春嶽にリベンジのチャンスが巡ってきたのは、斉彬亡き後島津久光が軍備を整えて上洛した事に端を発する。そして情勢が大きく動きだすにつれ、時代は春嶽を必要としたのだった。実質的な春嶽政権の誕生である。本書では、この辺りから、もう一つの楽しみが生じてくる。島津久光、一橋慶喜、松平容保らの人物評が織り込まれてくるのである。歴史上の人物がとった行動の裏には、その人物ならではの行動規範があったはずだ。それが見えてくるから面白い。例えば最後の将軍・慶喜は才気煥発ではあるが、私欲の為に行動する人物と描かれている。そんな著者の視点から見れば慶喜の奇人変人ぶりにも納得がいくというものだ。それに引き比べて常に「私」を捨て「公」の信念を曲げなかった松平春嶽の志しの高さこそが「天翔ける」のだろう。もう新たに、こんな骨太の小説を読むことができなくなったのは残念だ。
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