
テスカトリポカ
佐藤 究
2021年2月19日
KADOKAWA
2,310円(税込)
小説・エッセイ
鬼才・佐藤究が放つ、クライムノベルの新究極、世界文学の新次元! メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていくーー。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。第34回山本周五郎賞受賞。
みんなの評価(110)
starstarstar読みたい
168
未読
37
読書中
17
既読
512
未指定
322
書店員レビュー(2)書店員レビュー一覧
みんなのレビュー (7)
(無題)
前半は暴力に次ぐ暴力で、主人公が誰なのか、物語がどこに向かっているのかがわからず、やや冗長にも感じる。アステカの神話は見慣れない言葉が多く目が滑るが、末永とバルミロが出会ったあたりから面白くなり、一気に読んでしまった。麻薬取引と臓器売買をめぐる群像劇。淡々と、しかし重厚に描かれる凄惨な犯罪の数々に圧倒される。 コシモとパブロがただのナイフ職人と弟子であったなら、と思ってしまうが、犯罪組織の中でなければ出会うこともなかっただろうと数奇な運命に切なくなる。 蛇足だが、矢鈴はコカインを止められないと思う。子供を犠牲にしてでも我が身可愛さに警察に行けなくなってしまうところ、一方で自宅まで戻ることもできず事故を起こしてしまうところ、ある意味一番リアリティを感じる人物かもしれない。
全部を表示ー部を表示いいね0件
close

ログイン
Readeeのメインアカウントで
ログインしてください
Readeeへの新規登録は
アプリからお願いします
- Webからの新規登録はできません。
- Facebook、Twitterでのログイ
ンは準備中で、現在ご利用できませ
ん。
X

LINE
楽天ブックスサイト
楽天ブックスアプリ
Readeeユーザー
(無題)
わーーこれはすごい!!!こんなに濃い小説はひさしぶりに読んだ。膨大な知識量で殴りつけてくるのに説明臭くなく、スッと入ってくる。 暴力にまみれているから映像化はできないだろうし、たとえできたとしてもこの密度は絶対表現できないだろうなと。 最初、物語がどこに向かっているのか、誰が主人公なのか、全くわからなかったけど、バルミロ、コシモ、(+末永)が軸。 麻薬密売という世界を跨ぐブラックマーケットと、メキシコに昔存在したアステカ帝国の信仰が絡み合い、暴力性と知能を兼ね備えた男たちが暗躍する。 日本の子供の心臓を売る、というビジネスは納得感があった。たしかに需要がありそう、、、 それぞれの登場人物の思惑、思想がどのように形成されたのか、ものすごく丁寧に描かれているから感情移入できる。それでいて、徹底して作者視点は冷酷な観察者の立場を貫いているから、過度な演出のあるキャラクター小説になっていない。 ゆいが「バルミロは宗教があったから強かったけど宗教があったから負けた」と言っていたけど本当にそうだな、、 悪とか犯罪者を物語にすると、必ずそれを打ち倒して(消して)物語を閉じなければならなくて、そこが難しいなあといつも思う。(かっこいい登場人物の挫折を描かなければならないから) でもこの小説は、コシモという果てしなく純粋な登場人物がいたことによって、ビジネスを立ち上げたバルミロと末永が共倒れし終わる(コシモは生き残る)という結末になっている。犯罪を消すこととキャラを残すことを両立させていて、そこが凄いなと思った。 ハラハラする緻密な展開、凄まじい暴力、闇の儀式、心臓外科医と麻薬の複雑な関係性……読んでいる途中で最高の小説だなと思ったけれど、終わり方も完璧で驚いた。 ソモスファミリア(俺たちは家族だ)!とか、コラソン(心臓)とか、単語もかっこいいよな〜
全部を表示
いいね3件