ナミヤ雑貨店の奇蹟

物語は、ある日空き家に忍び込んだ3人の青年が、「過去からの手紙」に遭遇するところから始まります。やがて彼らは、この廃屋がかつて人々の悩みに答える「ナミヤ雑貨店」であったことを知り、手紙を通じて誰かの人生と心をつなぐ役割を担っていきます。 一見バラバラな短編のように見えるエピソードたちが、見事に一つの大きな物語としてつながっていく構成が本作の魅力。登場人物の運命が交錯し、読者は「ひとつの善意が、何年も時を超えて誰かを救うことがある」という**“奇蹟”の意味**に気づかされていきます。 どの話も、「人生には選択肢がある」「悩むことには意味がある」というメッセージを優しく伝えてくれます。そして、何より印象的なのは、ナミヤ雑貨店の店主・浪矢雄治の誠実さとあたたかさ。彼の姿勢が、物語全体に「人を信じる力」を宿らせています。

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世の中の出来事は点であって、一つ一つは線でも面でも無いと思います。一つ一つの点を俯瞰したときに、あの点とこの点は繋がっているな、この線とこの線は交差しているな、見上げればあんなものとも繋がるなという感じに、出来事を結び付けて縁や運命なんかを感じたりしているのではないでしょうか。小説をどう作るかは分かりませんが、立体パズルのピースをバラバラの状態から組み立てる様な感じですかね。 この小説はそれぞれのピースが輝いていて、ハンバーグとコロッケとステーキと焼肉を食べた感じがします。お腹いっぱいです。東野さんの小説はそういったメジャーな美味しいもの全部入り感を感じます。 ナミヤ雑貨店で繰り広げられる悩み相談、テストで100点を取るには？一本足打法で打つには？そんな子どもの悩みから、夜逃げ相談、真摯な答えが心を打ちます。時空を超えた相談と回答になっているのは小説として面白かったです。 作中にはサザンオールスターズやビートルズが出てきました。サザンオールスターズもビートルズも一世代前、両親の世代のもので、曲はたくさん聞いたことがありますが、ど真ん中ではありませんでした。親の世代の方が楽しめるかもしれません。 因みにビートルズのアップル・ビルの上のライブは見たことがなかったのでYouTubeで見てみました。メンバーに30手前の若さはありませんでしたが、熟練した家族の様な雰囲気を感じました。この感覚も歳を重ねて見直すと変わるのかもしれませんね。娘も家族みたいだと話していました。不思議なものです。

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