女優(下)
角川文庫
渡辺淳一
1989年9月30日
角川書店
462円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
松井須磨子と島村抱月の恋愛は人気女優と妻ある大学教授とのスキャンダルという、世間の好奇心で増幅され一気に社会的事件になった。文芸協会は崩壊した。うちつづく内粉とスキャンダルに嫌気がさし坪内逍遥は協会を解散してしまった。抱月は須磨子を中心に新劇団芸術座を創立した。芸術座は沢田正二郎らなど文芸協会2期生が集まり第1回公演は、大正2年9月有楽座で行われた。客席は連日満員の盛況であった。たとえスキャンダルであれ、芸術座は須磨子の人気におぶさっていた。ノラを演じ、サロメを演じる須磨子は、全てを捨て演劇と抱月との愛に生きる女になった。新しい時代の女性の誕生であった。
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