
狐火の家
角川文庫
貴志 祐介
2011年9月23日
KADOKAWA
748円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
長野県の旧家で、中学3年の長女が殺害されるという事件が発生。突き飛ばされて柱に頭をぶつけ、脳内出血を起こしたのが死因と思われた。現場は、築100年は経つ古い日本家屋。玄関は内側から鍵がかけられ、完全な密室状態。第一発見者の父が容疑者となるが……(「狐火の家」)。表題作ほか計4編を収録。防犯コンサルタント(本職は泥棒?)榎本と、美人弁護士・純子のコンビが究極の密室トリックに挑む、防犯探偵シリーズ、第2弾!月9ドラマ『鍵のかかった部屋』原作!
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硝子のハンマーの続編ですが、前作が大作であるのと様変わりして本作は短編連作集です。美人弁護士・青砥純子と榎本径が密室殺人のトリックを解明するのは変わりません。また、榎本には防犯探偵の名が与えられました。足を洗った元泥棒がそのノウハウを生かし防犯の専門家として活躍する、これなら防犯探偵と名乗っても違和感はありませんが、榎本は現役の泥棒ですよね。もっとも、泥棒でありながら、警察とは特殊なコネを持っている辺り、倒錯した滑稽さと緊張感が適度に効いていますね。もう一人の青砥純子は、榎本が冷静で論理的であるのに対して、美人でありながらもちょっと天然なキャラクターですので、このコンビが物語の展開を面白いものにしています。 ところで小説読みには、いろんなタイプがあるんでしょうね。例えば僕の場合ですと、小説に人間ドラマを求めますし、感動を伴うものはベストです。これとは反対に、そんなややこしいのはごめんだ、純粋にスリルや謎解きを楽しみたい、という小説好きもいます。こんな人たちには、本作は格好だと思われます。 内容に触れますと、標題ともなっている第一話はよく考えるととっても哀しい物語りなんですが、密室殺人の謎解きが先になってしまいますので、そこまで気が回りますかどうか。舞台は狐火集落のある荒神村、こう書き始めただけで金田一耕助が登場してきそうな予感がします。金田一耕助は出てきませんが、事件が起きるのは村の旧家・西野家です。次女の中学3年生・愛美が殺害されたのです。強い力で突き飛ばされて、柱に頭をぶつけ、脳内出血を起こしたのが死因と思われました。現場は、築百年は経とうかという古い日本家屋です。こんな家で密室が作り出せるか疑問ですね。実はこういうことなんです。玄関と縁側、勝手口は施錠されていた上に、玄関と勝手口は100m先のリンゴ園からみはらせる場所でした。唯一1階の窓が開いていましたが、窓の下は前日の雨でぬかるみ、ここから脱出すれば足跡が残ることは確実です。警察は、第一発見者の父・真之に容疑をむけ、逮捕しました。休暇で軽井沢に来ていた純子は今村の頼みで急遽、真之の弁護を担当することになりました。 第2話は身の毛もよだつ怖いお話しです。そうは言ってもスリラーやホラーではありません。毒蜘蛛を使った殺人なんですね。蛇や蜘蛛への恐怖は人間のDNAに刻み込まれているんでしょうね。ところが、中には怖がらないどころか、ペットとして可愛がる人がいるんですね。第2話に登場する純子の依頼人・古溝もそんな一人でした。純子は古溝から死んだ友人の桑島が遺したペットの譲渡を巡るトラブルについて相談を受けました。相続人の美香がペットを殺すかもしれないと聞き美香の元に行った純子は、本当に殺すつもりだという彼女に動物愛護法を説いて古溝が受け取る予定だと語る3匹のペットを渡すということで美香と話をつけました。そして古溝と美香と共にペットが飼育されているアパートに行きました。古溝の話しぶりからペットの正体は毒蜘蛛だったことが分かります。しかも桑島はペットの毒蜘蛛に噛まれて死亡したことを聞くのでした。しかし桑島の死んだ状況に疑問を抱いた純子は桑島の死が事故ではなく他殺だと直感し、榎本からの助言を借りながら、古溝と美香の2人のどちらが真犯人かを突き止めようと考えを巡らすのでした。
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