
世界は救えないけど豚の角煮は作れる
にゃんたこ
2021年1月20日
KADOKAWA
1,320円(税込)
小説・エッセイ
YouTubeで文学的世界観を作り出している、にゃんたこの初エッセイ! にゃんたこワールド全開の日常と哲学がここに凝縮。短編ストーリー「沈む熊」、「いつくしみをたたえて」も収録。 【本文より】 生活の中に、青春を懐かしむ余白をもつ人間のことを大人と呼ぶのだとすれば、私の心はずいぶん前からすっかり大人になってしまっている。年齢を重ねただけの子供を大人と呼ぶことができるのか?というモラトリアム的な問題はさておき、とにかく最近、青春時代のあれこれを思い出すことが多い。けれど、「大人である」私が、たとえば高校生の私を懐かしく思うのと同じように、高校生の私もまた、「大人である」私にひどく恋い焦がれていた。 高校一年生の夏休みに、生まれて初めて髪の毛をブリーチした。ブリーチ剤を頭に塗りたくられて、ラップをぐるぐると巻かれる。60ワットの照明器具然としたドーナツ状の謎の物体が頭の周りをぐるぐると回る。頭皮が燃えるように熱くなり、その熱さが次第に痛みへと変わっていく。昨晩食べた八匹の子持ちししゃものことを思い出す。コンロの中ってこんな感じだろうか。 一時間の耐久の末、憧れのブロンドヘアを手に入れた私は、顔にも年齢にも不釣り合いな濃いメイクに違和感を覚えないほどには浮かれきっていた。大人の女はブロンドヘアが似合う、という類稀なる偏見と理想。そこに若さゆえの超主観的な実行力が加わって、悲しみのブロンドティーンが誕生してしまった。(続く) ●マクドナルドの残り香が連れてくる朝●つゆだく納豆的幸福論●第一次シングル・ダブルロール問題●幽☆遊☆白☆書のチケット●カエル見に行かへん?●中二病を患うと難しい言葉で死にたいって言い始めるの、何で●ブラジルの小さな公園に咲くたんぽぽ●牛丼屋が好きだという話●欠けたものほど美しい●堂々と逃げ道を歩くこと●豚の角煮は生活を救う・夢は弁護士です●でかいテレビがもたらす恩恵について●青い首輪から咲いた花・未来は今の地続きである●平穏な日常に、戦争は突然訪れる●大衆迎合的なバレンシアガのスニーカーについて●ほんの一面としてのショートパンツ●コンプレックスとピカチュウのしっぽ●ウィリアム・ターナーと救済
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またエッセイ本書いてほしい
にゃんたこ先生のファンならマストアイテム。 そうでない人も是非読んでみてほしい。 なんだかニコニコとしながら読んでしまう。ずっと読みたい。そんなエッセイ。 とりあえずカバンに入れといて、ちょこちょこと繰り返し読んでも愉しい。
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