漢詩の名句・名吟

講談社現代新書

村上 哲見

1990年11月16日

講談社

792円(税込)

人文・思想・社会 / 新書

三杯の酒に大道を知り、都の月に旧友を思う……。奔放自在な「詩仙」李白、謹厳実直な「詩聖」杜甫、閑寂の自然詩人王維など、平安の世から日本人の心をとらえてはなさない漢詩の豊かな抒情の世界に遊ぶ。 この世に処るは大いなる夢の若しーー「浮生は夢のごとし、歓を為すこと幾何ぞ」というテーマは、李白のこの文章だけでなく、李白の詩のいたるところに鳴りひびきます。詩文を問わず、李白の文学の根底にいつも流れている基音といってもよいでしょう。近年クラシック音楽のほうで、グスタフ・マーラーの人気がとみにあがっているそうですが、その代表作のひとつ「大地の歌」は、「唐詩を下敷きにして作られたといわれております。もとよりマーラーに唐詩が読めるはずはありませんが、ハンス・ベトゲという人の「中国の笛」と題する唐詩の翻訳詩集を読んで感激し、この大作にとりかかったのだそうです。ご承知のようにこの曲は、「テノールとアルト(またはバリトン)と管弦楽のための交響曲」と副題があり、歌曲と管弦楽が一体になっておりますが、その歌曲の歌詞は、ベトゲの訳詩をもとにして曲を付したものです。そして全6楽章のうち、1、3、4、5と4つの楽章は「李太白による」となっております……。それは李白の詩の根底に流れているものが、それだけの普遍性をもっているということでもあるでしょう。--本書より ●西のかた陽関を出ずれば故人無からん ●三杯 大道に通じ、一斗 自然に合す ●杯を挙げて明日を邀(むか)え、影に対して三人と成る ●燕子楼中 霜月の夜、秋来只だ一人の為に長し ●昔聞く 洞庭の水、今上る 岳陽楼 ●空山 人を見ず、但だ人語の響くを聞く ●煙は寒水を籠み、月は沙(すな)を籠む ●緑浪 東西南北の水、紅欄 三百九十橋 ●平沙万里 人煙を絶つ ●積水 極む可からず、安ぞ滄海の東を知らん

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