
はじめてのインド哲学
講談社現代新書
立川 武蔵
1992年11月17日
講談社
990円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
自己と全宇宙の合一をめざし、3000年の「聖なる」思索を重ねたインド。壮大にして精緻な精神のドラマを、一巻に凝縮する。 自己が宇宙と合一するーーインド精神が一貫して求めたものは、自己と宇宙(世界)との同一性の体験であった。世界を超越する創造神を認めないインドの人々が求めた「神」は、世界に内在する神、あるいは世界という神であった。一方、インドは自己に許された分際というものを知らなかった。つまり、自己は限りなく「大きく」なり、「聖化」され、宇宙(世界)と同一と考えられた。もっとも、宇宙との同一性をかちとるために、自己は時として「死」んだり、「無」となる必要はあった。しかし、そのことによって自己はその存在の重みをますます増したのである。自己も宇宙も神であり、「聖なるもの」である。自己と宇宙の外には何も存在せず、宇宙が自らに対して「聖なるもの」としての価値を与える、すなわち「聖化する」のだということを、何としても証したいという努力の過程が、インド哲学の歴史にほかならないのである。--本書より ●自己と宇宙の同一性を求めて ●汝はそれである ●ブラフマンとアートマン ●麦粒よりも小さく、世界よりも大きい ●仏教誕生 ●自己否定の果てに現れる「聖なるもの」 ●バラモン哲学の成立 ●大乗仏教の興隆 ●言葉の多元性を止滅させる ●マンダラーー宇宙と自己の同一性の直証 ●男性原理と女性原理 ●世界の聖化の歴史
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