
古事記と日本書紀
講談社現代新書
神野志 隆光
1999年1月20日
講談社
946円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
古事記では死んで黄泉に行くイザナミが日本書紀では死なない──両者を別の神話として読む画期的論考 【古代天皇神話】──『古事記』『日本書紀』において、神話は、天皇の物語の1部であった。それは天皇神話というべきなのである。「古代神話」とか、「日本神話」とかいうのは正しくない。まず、『古事記』でも『日本書紀』でも人間のはじまりについて語ることがないということに、きっかけをもとめてはじめよう。世界としての成り立ちを語るのは、イザナキ・イザナミの国作りの話である。イザナキ・イザナミが男女として交わって、「大八島」の島々や、海・風・木・山・野等の神を生む。二神が生むというかたちで、国土とさまざまな自然的要素の出現を語るのであり、まさに世界の生成を語るものである。話の筋だてからいえば、『古事記』も『日本書紀』もほぼ同じだが、いすれにせよ、そのイザナキ・イザナミの話のなかで人間のはじまりについて語ることはないのである。──本書より ●本居宣長『古事記伝』をめぐって ●中世の『日本書紀』 ●古代天皇神話 ●人間のはじまりについて語らない神話 ●『古事記』の神話的物語 ●『日本書紀』の神話的物語 ●陰陽の原理による世界の物語 ●多元的な古代天皇神話 ●神話の一元化 ●近代国家における『古事記』『日本書紀』
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