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(無題)
物凄い斜め読み。 読んでいて山口瞳と司馬遼太郎の対談を思い出した。 山口瞳が「いかに京都が俗悪な街であるか」を熱弁していてゲンナリしたあの対談。 この坂口安吾の作品も伝統や京都の文化そしてそのあざとさや沈黙の冗長さや退屈さが嫌いで、合理的な工場やネオンサイン、また実質に特化した刑務所やらの建築が美しい、、と言う内容かな? それを言うならこの随筆だって私にはちょっと退屈なのであるが... なんだかんだ坂口安吾は東京が好きなのだろう。 そのあざとさも含め日本の文化や伝統を愛している人間もいる。 何故「合理性と伝統の共存」と言う発想にならないのだろう。何故「伝統は要らない」と言う発想になるのか。 あなたには必要なくても私には必要な大切なものなのです。と言いたい。 必要の無い人間が多勢だから..と言う話であるのなら多様性に不寛容な作家哲学者である。 が、こう言う文章の方がどことなく天罰があたりそうな感じもあってウケるだろうし勢いよく書けるのだろう。 これと真逆で、三島由紀夫よろしく日本の伝統や文化をこよなく愛しています、などと言おうものなら袋叩きにあいそうな昨今である。 ただ良い点もあった。文学は家への帰宅後たとえ家族がいなくても悔いや哀しさがあり心の申し訳なさ不自由さが文学の原点だとかなんとか、忘れたがその辺の文章である。 ただし最近は年齢を重ねたせいかそう言った文章も、人の気をひくための気の利いた文章だというひねくれた読み方をするようになっている。
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