
銀行総務特命
池井戸潤
2002年8月31日
講談社
1,980円(税込)
小説・エッセイ
極秘「企業選別リスト」の売買事件、美人女子行員「AV出演」で明るみに出た銀行員の淫靡な欲望、ストーカー事件の陰に隠された陰謀、人事vs.総務の熾烈な暗闘、破綻銀行のペイオフ発動に仕掛けられた罠…。見かけは端正で完璧なエリート集団が引き起こす生々しい不祥事に、総務部特命が挑む。
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(無題)
これは池井戸お得意の銀行内幕ものです。主人公は総務部特命調査役。職務は簡単にいえば、行内不祥事の処理係ですね。いわゆる不祥事を働くのですから、当人に弁解の余地はないのですが、池井戸は哀愁を帯びた人間像に描きあげます。 第一話の「漏洩」は、銀行の機密文書流出をめぐる事件です。ミカドと名乗る男が名簿業者に5百万円で売り込んだのは帝都銀行から流出した融資先の情報でした。糀谷電業社長は帝都銀行と自社を倒産に追いやったタキザワ電気を陥れるためにこの情報を利用したのでした。銀行から情報流出させた帝都銀行本店融資部の藤枝は、過去にこの社長から藤枝のマンション購入資金を融資してもらった手前、融資先の情報を提供していたのでした。 第二話「煉瓦のよう」は、ノンキャリアの実力者田島にまつわるお話です。田島は煉瓦のような顔をした男でした。30年前に帝都銀行に入行し、今では支店を統括する支店部長で、執行役員の肩書きも得ました。そんな男に、民事再生法の適用を決めた建設会社に絡む2百億円の損失に関与したという疑惑が浮かびました。田島はこの融資で裏金1億円を得ていました。証拠を突きつけられた田島は、死を選びました。しかし真相は銀行という組織を守るために自分が犠牲となったのです。 「官能銀行」のストーリーは、破廉恥極まりない内容です。女子行員がアダルトビデオに出演したことが報道されました。この女子行員は、一般職から総合職にしてやると言って玩んだ人事部大前次長に対する復讐の意味でAV出演をしたのでした。 「灰の数だけ」。同期トップで支店長に就任した堂島。債権回収の汚れ仕事で上げた実績が評価されてのことでした。その堂島の妻と娘が誘拐されました。身代金の運び役となった指宿の部下・唐木は犯人の指示に従って1億円を持ってあちこち駆け回る羽目になりました。堂島を恨んでいた倒産到会社の社長が逆恨みをしての犯行でした。 「ストーカー」。前原美樹は帝都銀行渋谷支社という有力支社で総合職にあるキャリアで入行10年目。この半年程ストーカーに付け狙われているといるのです。同僚の古橋の犯行かとおもいきや、犯人は美樹の上司である由比で、不正資金流出を隠すため美樹の自宅のパソコンに入っているファイルを探し出すのが目的でした。 「特命対特命」。宮野聡は帝都銀行のスタートレーダーでした。ところが彼は百数十億円の損失を出してしまいました。運用部長の藤堂は、かねてより煙たく思ってた指宿を陥れるため人事部のエース星川を投入しました。星川は巨額損失の原因を指宿に押し付けるストーリーを描き、人事部が総力を挙げて指宿をたたきつぶそうとしますが、指宿は真犯人藤堂を追い詰めます。 最後のニ話は省略しましたが、どの話も悲哀や憎悪が絡み、やるせないながら、お金ゆえに仕事と社会に押しつぶされた人や罪をおかした人のなかにも少しは良心が見えるのが救いでしょう。
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