あるようにあり、なるようになる 運命論の運命
入不二 基義
2015年7月29日
講談社
2,750円(税込)
人文・思想・社会
「すべての出来事は、あらかじめ決まった因果関係により、必然的に起きている!」 というのが運命論者である。そんなバカな、と思うか、そうかもしれないと納得するか、人類は運命論・反運命論に分かれて論争してきた。これは、じつは、過去・現在・未来を問い直す時間論であり、因果関係を見直す論理の問題でもある。運命論をスリリングな哲学として展開する快著! 「すべてのことは必然的に起こっている」というのが、「運命論」の主張です。たとえば、すべては神のシナリオ通り、という考え方もあれば、過去から現在に至る因果関係ですべて未来はきまる、という主張もあり得ます。古来、根強く支持されてきた思想といえます。アリストテレスはこれを論理的に批判しようとしましたし、彼と同時期のディオドロス・クロノスは擁護しようとしました。 現代哲学においても、リチャード・テイラーは支持派、マイケル・ダメットは批判派です。 たとえばテイラーには「オズモの物語」という議論があります。オズモはある日、図書館でこれまでの自分の人生を寸分違わず書いている本を見つけます。結末は、3年後に飛行機事故で死亡、となっていました。オズモは、その空港だけはさけようとしますが……。 あるいは、ダメットなら「ロンドンの空襲」。大戦時、ロンドンが空襲され、防空壕に逃げる。そこで運命論者が言う。「あなたは殺されるか殺されないかのどちらかだ。死ぬとしたら、予防策は無駄である。死なないとすれば、予防策は余計である。いま何をしようが未来には関係ない」--ダメットによればこの話には、論理的な間違いがある……。 このように、さまざまな運命論の議論を哲学的に仔細に検討しつつ、著者は、これまでにない独自の運命論に到達しようとします。 それが、タイトルになった言葉「あるようにあり、なるようになる」です。もう一言言えば、「運命に乗り、自由であること」。 因果関係や論理、可能・不可能といった様相、過去・現在・未来の構造を検討する時間論などなど、哲学の主要なテーマを自在に横断しつつ、著者がたどりついた地点とは? 哲学する醍醐味に満ちた一冊を堪能してください。 プロローグ 概念を動かしてみる 第1部 論理からはみ出す現実性 神秘としての運命/排中律と現実/排中律と無 第2部 現実の未来 アリストテレスの議論/運命論批判の失敗/現実性と様相 第3部 不可能な未来 マスター・アーギュメント/二つの時間原理/過去の深さ 第4部 輻輳する現在 「海戦」版の議論/「オズモの物語」の議論 第5部 拮抗を生きる 「ロンドン空襲」の議論/「族長の踊り」と「遡及的な祈り」/運命論と自由 エピローグ 運命に乗る
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