
男性漂流 男たちは何におびえているか
講談社+α新書
奥田 祥子
2015年1月21日
講談社
968円(税込)
新書
結婚、育児、老親介護、みずからの老い、リストラ……働き盛りの中年男性はみんな、「こわがっている」。けっして予定通りにはいかない人生の悲哀。男であるがゆえに、周囲に弱みを見せられず、すべてを自己責任にされ、誰にも本当の想いを打ち明けられず、孤立し、懊悩する中年男性たち。10年にわたり“異なる性”として男性たちに密着してきた女性記者がその先に見るものとは──。日本社会がリアルに抱えるリスクを炙り出す! 「久米書店 ヨクわかる!話題の一冊」(BS日テレ 6/14放映)で、取り上げられました! http://www.bs4.jp/kumebook/onair/61.html 語られざる男性たちの苦悩を描いて、ベストセラーになった『男はつらいらしい』(新潮新書)。男たちはさらに歳を重ね、結婚、育児、介護、自らの老い、そして仕事に葛藤していた──。 ジェンダー論者やフェミニズム論者のような一面的な「男社会」論からはこぼれ落ちてしまう中年男性たちの悲哀と苦悩。10年にわたる取材を通して浮かび上がる、決して予定通りにはいかない人生の難しさ。少子高齢化、未婚社会、介護離職、老後破産……取材対象者の姿を通して見えてくるのは、日本社会がリアルに抱えるリスクの実態。 自身、リストラ・未婚・老親介護の苦悩を抱えながら、一取材者として“異なる性”である中年男性たちと向かい続けてきた女性記者が、足で稼いで掴み取った生々しいホンネの証言の数々。 現代日本社会の知られざる側面を炙り出す、現代人必読の良質なドキュメント。その先に、浮かび上がってくる「自分自身」の姿に、読む者は戦慄する。 第1章 結婚がこわい 第2章 育児がこわい 第3章 介護がこわい 第4章 老いがこわい 第5章 仕事がこわい
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(無題)
「草食系男子に肉食系女子」。現代社会における若い男と女の有り様をこれほど端的に表した言葉は他に無いと思います。当初はセックスや恋愛への姿勢を言い表したのが、次第に生き方にまで広げて形容されるようになったように感じます。草食あるいは肉食に例えられる若者は、おそらく20代から30代前半ではないでしょうか。本書が取材対象としているのは、これより年齢層が高く、いわゆる中年と言われる世代の男たちで、著者には彼らがおびえながら生き方に迷っているように映ったようです。 著者はニューヨーク大学でメディア論、社会心理学専攻の大学院修士課程を修了後、日本の新聞社に入社、地方支局に配属されました。配属先で唯一の女性記者となった著者は、先輩たちが毅然とした態度で政治家や権力と対峙する姿に感化され、冷静沈着で弱音を吐かない男性記者を目標にするようになりました。その後、週刊誌部門に配属となり、取材をしているうちに男性への見方が変わりました。社会で優位に立っているはずの男たちが、仕事や家庭、心身の不調などの問題を抱え、苦しんでいることを知ったのでした。男たちは結婚、育児、介護、自らの老い、そして仕事に葛藤していました。それは視点を変えれば、社会自体に潜むリスクでもあったのです。ですから、本書は女から見た中年男性のルポに止まらず、現代社会の危険な一面を切り取って見せたものでもあります。 先ずは結婚できない男たち。晩婚化、非婚化が顕著であることは知っていましたが、50歳時点で1度も結婚したことのない男が20%もいるのは驚きでした。女性は10%で半分。あれ、と思いましたが、再婚する男が多いのがこの数字になっているのでしょうね。次が育児。育児に熱心な男がイクメン。未婚から脱出して勝ち組入りするために婚活。何だかおかしいと思いますよ。踊らされているというか、形だけを追いかけているというか、もっと自然でいいんじゃないですかね。僕の世代では「終活」という事になりますが、僕はそんなのやりませんよ。普通にやるべき事をやれば良いだけの事ですよ。男は確かに形から入る一面がありますけどね。その点女は皮膚感覚を大事にするというか、割と自然体で入っていけますよね。さらに「老い」アンチエイジングの章は、呆れた、あるいは馬鹿馬鹿しいの一言に尽きます。残る介護と仕事の章は、深刻ですね。 介護保険が導入される前夜、介護を担っていたのは長男の嫁が圧倒的だったと思います。それが、今では同居して介護する人の三人に一人が男だとの統計結果が出ています。これを続柄で見ると、息子が11%ですので、介護をする男は大部分が妻の介護に当たっているのでしょうね。反面、少子高齢化、晩婚・非婚が急速に進行する現代社会では、独身の息子が親を介護するケースは想像以上になるようです。本書では、そんな例を取り上げています。独身貴族を決め込んでいた働き盛りの中年が、ある日親の介護を担わなければならなくなった時、生活の激変ぶりには悲惨なものがあります。 非正規雇用者は全雇用者の36.6%にのぼりますが、この内男性は21.1%が非正規です。非正規の実態が主婦のパートや派遣の女性であった時代から大きく様変わりしています。家計の中心的稼ぎ手である中年男性が非正規の20%を占めています。企業にとって雇用の調節弁として使われる訳ですから、非正規の中年男性は深刻です。場合によっては結婚を躊躇せざるを得ない場合もありそうです。 ルポルタージュとして本書を面白く仕上げているひとつの要素に、一人の男性を10年以上の長期間にわたって取材し続けているところがあります。結婚にしても育児にしてもあるいは介護、仕事の面で悩みを抱えていても、そのぐらいのレンジで男を見れば、男は間違いなく成長して自分なりの解決を見出しています。大変に辛く厳しい社会の断面を見せられた一書でしたが、ホッとして本書を閉じる事ができました。
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