架空通貨

講談社文庫

池井戸 潤

2003年3月15日

講談社

880円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

女子高生・麻紀の父が経営する会社が破綻したー。かつて商社マンだった社会科教師の辛島は、その真相を確かめるべく麻紀とともに動き出した。やがて、二人がたどり着いたのは、「円」以上に力を持った闇のカネによって、人や企業、銀行までもが支配された街だった。江戸川乱歩賞受賞第一作『M1』を改題。

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NOB

一気に読み終えた

starstarstarstarstar 5.0 2020年10月03日

面白い。一気に読み終えた。ジャンルとしては作者の得意分野であるのだろう。ただ、このジャンルの知識がなくても十分楽しめる。とても読みやすい。

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Readeeユーザー

(無題)

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3.7 2018年11月09日

本書の題名は「仮想通貨」ではなく「架空通貨」である。架空とは実在しないことであり、仮想とは事実でないことを仮にそう考えることである。 今話題の仮想通貨とは、中央銀行や政府などの国家が発行したものではなく、開発者によって発行・管理され、特定の仮想コミュニティのメンバー間で使用されているものである。紙幣や硬貨といった形は存在せずに、デジタル上でのみ認識されるのが特徴である。ビットコインがその代表的存在だ。つまり、仮想通貨はある一定のコミュニティの中では通貨としての信任度が国家が発行する通貨同様に高いものである。それに対して架空通貨は、国家が発行する通貨と同等の効力があるように見せかけているもの、と言えようか。架空通貨とは、本書の著者あるいは編集者の造語であろうから、そんなふうに想像するしかない。 現在の通貨は兌換性がないのだから、通貨発行主体に対する信頼度がその価値を決定する。米ドルが世界の基軸通貨として通用するのは、国際社会におけるアメリカの実力がバックにあるからだ。仮に企業城下町を形作ったほどの有力企業が城下町でのみ通用する通貨を発行したとしたら、どういうことになるのか。この仮定のもとに本作は執筆された。 さて、これまで私は「通貨」と言う言葉を使ってきた。これを同じ意味を持つ「お金」と言い換えたらどうだろう。そのことだけで、今まで見ていた風景が間違いなく一変する。何故だろうか。透明で無機質な学術用語から、欲望や絶望などの人間の様々な思いを纏う言葉に変貌したからである。本書は小説であるから、お金そのものではなく、お金にまつわる人間の物語である。女子高生・麻紀と元商社マンだった副担任・辛島が主人公。2人はお金にまつわる何を見たのだろうか。

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