メルロ=ポンティ
鷲田 清一
2003年7月11日
講談社
1,650円(税込)
人文・思想・社会
手袋を裏返すと、指先の何もなかった空間に裏返された手袋が存在する。つまり手袋の意味は、手袋の表裏が密着した折り返し点に生成している。あらゆる物事は、内と外が接し織りなす、リヴァーシブルな「襞」にしか存在しないのだー。これがメルロ=ポンティの「可逆性」である。意識でも物体でもない存在として人間をとらえる「両義性」の思考を、両者の相互交流という視点から深めることで到達したこの考え方により、存在論のあらたな地平は切り拓かれた。そして哲学的反省は閉じた系として完結することを禁じられ、現象学のアクチュアリティは無限に拡大する。
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