
幸福な食卓
講談社文庫
瀬尾 まいこ
2007年6月15日
講談社
682円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
佐和子の家族はちょっとヘン。父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けに来る母、元天才児の兄。そして佐和子には、心の中で次第にその存在が大きくなるボーイフレンド大浦君がいて……。それぞれ切なさを抱えながら、つながり合い再生していく家族の姿を温かく描く。吉川英治文学新人賞受賞作。 切なさの分だけ家族はたしかにつながっていく。 佐和子の家族はちょっとヘン。父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けに来る母、元天才児の兄。そして佐和子には、心の中で次第にその存在が大きくなるボーイフレンド大浦君がいて……。それぞれ切なさを抱えながら、つながり合い再生していく家族の姿を温かく描く。 吉川英治文学新人賞受賞作。
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(無題)
愛の物語である。殊に家族の愛を哀しくも美しく描いた作品である。世に家族の有り様は様々である。しかし、どんなに特殊に見える家庭でも家族でさえあれば、愛に溢れている、と信じて疑わない善人による小説だ。馬は生まれ落ちて数分後には四つ足で立っている。ヒトは生まれてから立ち上がるまでには、ほぼ一年を有する。身体の大きさに比して巨大な脳を獲得したためである。ヒトが地球上の生き物の頂点に立つにはそれが必然であった。独り立ちするまでに長い時間を要するヒトにとって、命を守り庇護する家族や社会は是非とも欠かせないものであった。それは人類の繁栄のために遺伝子に刻み込まれているのだ。しかし、その一方で、殺人や傷害などの犯罪のほぼ半数は家族の間で起きている。愛情に満ちた家庭の裏には、それと同程度の憎しみや反目しあう家族があると言っても良い。人の織りなす業の妙なるところだ。 本書に登場する家族は、中学校の教師である夫と専業主婦の妻、子供は農業に従事する男の子と中学生の女の子である。そしてこの家族には、必ず4人揃って朝食の食卓を囲む、というルールがあった。この限りにおいては、昭和の典型的家族である。ところがこの家族、主人公の佐和子を除くと大変に個性的なメンバーで構成される。先ずは父。おそらく大変な真面目人間なのであろう。教師として、父親として、一家の大黒柱として、その責任を一身に担ってストレスに押しつぶされ自殺を企てる。そんな夫の内面に気づかずに支えられなかったと自分を責める母。世間のステレオタイプの父親像に自分を当てはめようとするあまり、自殺未遂にまで自分を追い詰めてしまったことに気がついた父は、ある時家族に教師を辞め、父さんを止めるて自らを解放すると宣言する。専業主婦でありながら、夫を気遣えなかったことに自責の念を募らせた母は、家を出て自活を始める。かと言って夫婦別れではない。元の家に出入りして掃除をしたり料理を作ったりする。しかし、彼女は作った料理を家族揃って食べることはしない。自分には家族団欒の食卓に座る資格が無い、と頑なである。佐和子の兄は、学力もスポーツも頭抜けていて、天才児とさえ言われたものだった。高校卒業後の進路は、大方の予想を裏切って農業の道を選んだ。彼は、人間関係を円滑に結ぶ事が不得手であった。だから、何時も失恋をしていた。そして佐和子には、心の中で次第にその存在が大きくなるボーイフレンド大浦君がいた。
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