夜の明けるまで 深川澪通り木戸番小屋

講談社文庫

北原 亞以子

2007年6月15日

講談社

627円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

江戸の片すみ・澪通りの木戸番小屋に住む笑兵衛とお捨。心やさしい夫婦のもとを、痛みをかかえた人たちが次々と訪れる。借金のかたに嫁いだ女、命を救ってくれた若者を死なせてしまった老婆、捨てた娘を取り戻そうとする男…。彼らの心に温かいものが戻ってくる物語全8作。第39回吉川英治文学賞受賞作。

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Readeeユーザー

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2.9 2021年09月05日

かつて「慶次郎縁側日記」シリーズを何冊か読んだことがあったが、この「深川澪通り木戸番小屋」シリーズも北原亞以子の代表作である。 両シリーズ実に似通っている。というより作風といった方が良いのかもしれない。作者が描くのは、なんということもない庶民の些事である。ところが、その些事の積み重ねが、どうにも身動きならない運命となって行くのが江戸庶民の生き様である。それは江戸に生きる民の身の上だけではない。現代に生きる私たちにも同じことが言えるから、本シリーズが人気なのだろう。さて、本編の主人公は深川・澪通りの木戸番笑兵衛とお捨である。 徳川時代、江戸は人口100万をかかえる大都市であった。そのうち、ほぼ半数が町人である。ところが江戸の行政コストは驚くほど安かったのである。大都市の治安を担う警察組織は、与力が南北奉行所に25名ずつ、同心は100名ずつである。250人程度で50万町民の治安維持や行政、防災を担っていたのである。なぜそんな少人数で治安・防災・行政を維持できたのか。その鍵は江戸八百八町隅々にまでネットワーク化された自治組織にある。江戸の町は表向きの官組織ではなく、民間の自治組織によって維持されていたのが実態であった。木戸番はそんな自治組織の最末端である。町内ごとに設けられた木戸は昼間はあけておくが、犯罪人が逃げ込んだり、喧嘩など非常の際は、閉鎖して交通を遮断した。午後10時には木戸を閉め、それ以後は左右のくぐり戸から出入りさせた。この場合は「送り拍子木」を打って、通行人の存在を次の木戸に知らせた。さらに木戸番は、夜間町内を巡視して火災の警戒にもあたったのである。木戸番の人件費をはじめとする維持費は政府から支給されない。町内で賄わなければならないのだから、なんのことはない民間への費用のツケ回しである。 そんな笑兵衛夫婦の元で繰り広げられる物語8編が収録されている。

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Readeeユーザー

(無題)

-- 2019年03月07日

大人気シリーズ文庫最新刊。吉川賞受賞作 江戸・深川。過去を秘めた心やさしい木戸番小屋夫婦のもとに今日もひっそりとやって来る男たち、女たち。シリーズ第4作・全八話。第39回吉川英治文学賞受賞。

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