御暇 交代寄合伊那衆異聞
講談社文庫
佐伯 泰英
2008年11月14日
講談社
680円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
無敵の南蛮剣を玲奈の母から譲り受け、日本人だけで江戸を目指す観光丸で藤之助は長崎を後にする。当主の見違える偉丈夫ぶりに、腰を抜かす座光寺家江戸屋敷の面々。縁談の持ち上がった文乃を連れ、藤之助は懐かしき故郷へ…。幕末を駆ける快男児を描く人気シリーズ、怒涛の二冊同時刊行。
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(無題)
シリーズ第九弾。舞台は長崎から江戸へと戻ることになる。長いこと続いたおらん(瀬紫)との戦いにも終止符が打たれ、新たな物語が始まろうとしている。思いがけない形で異国を見聞することになった藤之助の存在は開国をすすめようとしている老中首座・堀田正睦の切り札になるのだろう。しばらくは堀田正睦の年寄目付・陣内嘉右衛門達忠とのやり取りが頻繁になりそうな気配である。題名の「御暇」は長崎を御暇するという意味もあるのだろうし、座光寺家の奉公を止める文乃の御暇の意味も込められているのだろう。前作でもチラリと登場した文乃であるが、嫁ぐことが決まった。相手は茶道具屋の嫡男・駿太郎である。その嫁ぐ前に文乃の最後の奉公として、座光寺家の山吹陣屋への旅が計画される。
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