ピストルズ 上

講談社文庫

阿部 和重

2013年6月15日

講談社

712円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

菖蒲家ーー甘い香りと美しい歌声に満ち、世間から隔絶された夢の花園。だがその実態は、人心を自在に操る一子相伝の秘術を用いる魔術師一家が、一二〇〇年にわたって住まうディストピアだった。自分の代で忌まわしい伝承を断つつもりだった父は、一族の遠大な呪縛に絡め取られていく。谷崎潤一郎賞受賞作。

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長江貴士

書店員

阿部和重「ピストルズ」

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0
2019年12月04日

みんなのレビュー (1)

書痴夢

作り込みがやばい

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4.8 2023年07月11日

昔、単行本で読んで挫折したのを、Audibleで再読。 ぱっと思いつく感想は、作り込みがやばいこと。 まず、構造がすごい。上巻のかなりの部分が次女のあおばの一人語りなのだが、それも本屋が聞いた話を記録にしたという体裁で、まずここで二重である。そして、本屋が記録する理由は全て忘れさせられてしまうからだから、その真正がまったく担保されない。さらには、あおばの語り自体、ほとんどが父の伝聞であり、加えて父の正気自体が不明、かつ、いくらでも人心操作できる父親の語る話がどこまで本当かさっぱり分からない。そして、父は祖父から色々吹き込まれているらしいが、父は祖父の話を嘘だと思っている。 書いてみて思ったけど、なんだこの構造(笑)。頭がおかしい。 そして、細部でも色々ありそう。多分、まったく全部拾えてないんだろうが、春夏秋冬、秋分や冬至の日付がさらりと色んなところに出てきており、また、母親たちが四人、娘たちも四人で四季を象徴。そして、末娘のみずきは生まれが秋分の日なのだが、秋分の日は阿部和重の処女作、アメリカの夜のキーワードの一つで、いやー、絡めてくるなーと面白くなってしまう。 そして、あおばの語り口がまた面白い。ゴシックというか少し古い少女趣味というか、過剰な丁寧さと極彩色の比喩など、男がよく書けるなこれ・・・。 そして、でもひょっこり出てくる変な話が笑える(ピアノ辞めたから家族に見捨てられたとか、拉致監禁した男とされた男が一緒にポトフ食ってるとか)。 単行本で途中で読むの辞めてしまったのがなぜなのか思い出せないが、Audibleだと聞き易かった・・・。

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