
麒麟の翼
講談社文庫
東野 圭吾
2014年2月28日
講談社
814円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
「私たち、お父さんのこと何も知らない」。胸を刺された男性が日本橋の上で息絶えた。瀕死の状態でそこまで移動した理由を探る加賀恭一郎は、被害者が「七福神巡り」をしていたことを突き止める。家族はその目的に心当たりがない。だが刑事の一言で、ある人物の心に変化が生まれる。父の命懸けの決意とは。
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翼のある麒麟
【私たち、お父さんのこと何も知らない】 胸を刺された男性が日本橋の麒麟の像の前で息絶えた。 そこで刺されたわけではなく、瀕死の状態でそこまで移動したのだ。 なぜそうまでして麒麟の像にこだわったのか。 死の淵で何を思ったのだろうか。 その理由を探るうちに、所轄の刑事である加賀恭一郎は、彼が「七福神巡り」をしていたことを突き止める家族に聞いても、信心深い人ではなかったはずだという。父親の仕事のことやほかのことも何も知らなかった。手がかりがすくない中、彼は七福神にお参りするときに、同じ色の鶴を百羽ずつ持参してお参りしていたという目撃証言がでてきた。 いったい何のために?謎は深まるばかりだった。 事件が難航している間に、メディアは被害者が労災隠しの黒幕だというストーリーを作り上げた。 会社は工場のラインを止めないためにインターロックを殺していた。インターロックとは安全装置のことで、製造ラインで作業をしているとき、間違って動いている機械に触ったら危ないので、そういう機械にはカバーがついていて、カバーを開けたら自動的に機械が止まるようになっている。でも、ちょっとしたことでいちいち止まっていたら仕事にならない、特に製造ラインみたいにいくつかの機械がつながっている場合だと、ほかの作業も滞ってしまうので、部品が機械に引っかかったりしても、機械を動かしたまま、作業員がさっと手で取り除いたりする、というのがあったりするのだ。危ないのは承知、だけれどもそれに文句を言えば派遣の身だと切られる、だから誰もそのことについて触れようとしないのだ。 しかし、被疑者と思われる男はラインで事故を起こしてしまった。インターロックを効かないようにしていたのが原因だった。怪我をしたが、派遣会社から病院に行ってもいいけれど職場で事故をしたとは言わず何か別の理由を言ってほしいと言われた。もちろん労災の届け出もしない、治療費は自腹でと言われ、そんな高いお金は払えないから病院に行かず数日休んでいたら、口封じに派遣切りにあった、というのが事実だった。だからもう一度雇ってもらえるよう頼みに行ったが断られて刺した、、、、 そいういうストーリー。 殺人事件というものは、癌細胞みたいなものだ。 ひとたび侵されたら苦しみが周囲に広がっていく。 犯人が捕まろうが、捜査が終了しようが、その浸食を止めることは難しい。 父親が殺されて可哀そう・・・から、一転して労災隠しの黒幕だったら自業自得だ・・・となってしまった。 本当に彼一人の指示だったのかは定かではない。 真相は海の底だ。 【過ちを犯しても、ごまかせば何とかなる】 大人の都合で、そう間違った教えを施された子供が、同じ過ちを繰り返した。 もし最初の時点できちんとした教えを施されていたのなら、、、 二度目の悲しい事件は起こらなかっただろう。 そんな間違った教えを施された子供に、正しいことを教えようとした大人がいた。 【人は最期に何を思うのか】 普段は無関心を通していた父親が我が子に命がけで教えようとしたこと。 不器用なやり方だったけれども、それは違うんだと伝えようとしていたこと。 ごまかせばいい、わからなかったらいいという事じゃないんだということ。 わかってほしかった。 だからあの場所まで行ったのだろう。 翼のついた麒麟の像まで。 キリンノツバサ。。。。きっと伝わると信じて。
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toruo
(無題)
今頃読んだのだ。作者のこのシリーズ、日本橋近辺が舞台で人形町とか情景が目に浮かぶので凄く面白い。 肝心のストーリーだが流石に良く練られてて面白い…のだけど、それで終わらせていいのか、とちょっとモヤモヤ感が残る…。
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