ラーメンと愛国

講談社現代新書

速水 健朗

2011年10月18日

講談社

836円(税込)

美容・暮らし・健康・料理 / 新書

ラーメンから現代史を読み解くスリリングな試み。

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長江貴士

書店員

速水健朗「ラーメンと愛国」

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0
2019年12月20日

みんなのレビュー (1)

Readeeユーザー

(無題)

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2.9 2018年01月26日

誰もが大好きなラーメン。勿論、僕も大好きです。でもね、有名店まてわざわざ出かけて行って、列に並んでまで食べようとは思いません。美味しいのかも知れませんが、食べるのに並ぶというのは僕の性に合いません。何より飲食店の店主が自分の趣味や信念・信条を客に押し付けるのが気にいりません。そんなものは店内の装飾であり、単なるファッションだと思えば良いのでしょうが、有名店はマスコミに取り上げられた結果であるにもかかわらず、何だかえらそ〜なのは味以前に腰が引けます。 今から20年ぐらい前になりますかね。初めて中国に行った時のことです。ラーメンの本場、中国でラーメンを食べるぞ〜!と密かに思っていたのです。その思いは叶えられませんでした。本場と考えていた中国にはどこを探してもラーメンはありませんでした。最近では中国人がラーメンの美味しさを知っていて、ラーメンを目当てに日本観光に訪れるというんですからね。ラーメンのルーツは南京そばで、支那そば、中華そば、ラーメンと呼称を変えて独自の変化を遂げてきたと言うんですね。変化のひとつはスープに醤油を入れたこと、2つ目は鰹節や煮干しなど和風だしを加えたこと、3つ目は麺を縮らせたこと、なんですね。ふむふむ、なるほど、と納得です。 本書にはこんな事も書かれていますが、実はラーメンを軸にして戦後の日本文化、メディア、社会を縦横微塵に語っているのが主軸です。イヤー正直言って40そこそこの著者に現代史を随分教えられました。ところで、この本の結論は「日本のラーメンは愛国主義に向かっている」と言うことなんですね。えっ、愛国主義?どう関連するの?と思いますよね、著者によると「グローバリゼーションのローカライズ」だと言うのです。もう少し分かりやすい例をあげると、なでしこジャパンや侍ジャパンのように、「世界を意識したときの日本人」の意識だと言うんですね。社会現象としてはそういうことなのかな〜とは思いますが、チョットぶっ飛び過ぎてない?、とも思います。 もう少し丁寧に内容を紹介しますね。戦後の闇市の支那そば屋台に連なる行列から、家で手軽に作れる支那そば、というアイデアを得た日清食品創業者・安藤百福の「チキンラーメン」開発のエピソードから本書は始まります。高度経済成長を目前に都市部で増加した単身者の食生活を支えたのがラーメンでした。ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』の舞台であるラーメン屋「幸楽」にみられる親子三世代の幸福像の変遷にも言及します。三丁目の夕日に象徴される昭和30年代への郷愁と結びつく食べ物はラーメンでした。地方の観光資源として開発されたご当地ラーメンもありました。90年代のフード番組やリアリティーショーがとりあげたラーメンとラーメン店等々。 ラーメンをめぐる日本戦後史というべき一冊です。

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