とうちゃんとユーレイババちゃん

文学の扉

藤澤 ともち / 佐藤 真紀子

2017年2月2日

講談社

1,540円(税込)

絵本・児童書・図鑑

ぼくは六年生。「とうちゃん」とお母さんと三人暮らし。でももう一人、なぜかぼくにしか見えない、ユーレイのババちゃんもいっしょだ。ぼくが四年生だった冬の朝、ババちゃんはベッドの中で冷たくなっていた。そしてその日から、ババちゃんはユーレイになったのだーー。複雑な家庭環境にある小6の男の子をとりまく、ちょっと不思議で、ちょっとせつない日々が、ユーモアいっぱいに描かれます。小学校高学年から楽しく読める一冊。  「第18回ちゅうでん児童文学賞」大賞受賞作品です。(選考委員:斉藤洋、富安陽子、鷲田清一)  複雑な家庭環境にある小6の男の子をとりまく、ちょっと不思議で、ちょっとせつないこともある日々が、ユーモアいっぱいに描かれています。  小学校高学年から、楽しく読める一冊です。 ●あらすじ  ぼくは六年生。「とうちゃん」とお母さんと三人暮らし。でももう一人、なぜかぼくにしか見えない、ユーレイのババちゃんもいっしょだ。ぼくが四年生だった冬の寒い朝、ババちゃんはベッドの中で冷たくなっていた。六十五歳だった。そしてその日から、ババちゃんはユーレイになったのだ。  なぜ成仏できないのかは、ババちゃんにもわからないらしい。「心残りが多すぎるからかね。」そう言って、ババちゃんはガハハと笑う。ババちゃんの心残りは、たぶん家族のこと……。  お母さんは、十八歳でシングルマザーになり、ぼくを産んだ。とうちゃんは、ぼくの父親ではない。お母さんの十歳年上のお兄さんだ。つまりぼくの伯父さんだ。名前が透也だから「とうちゃん」。ほれっぽいけど、恋愛には奥手の四十男だ。  ぼくは父親を知らない。でも、さびしいと思ったことはない。とうちゃんがずっとぼくの父親代わりだったから。楽天的で子どもっぽくて、おまけに下ネタ好きのしょうもないとうちゃんだけど、ぼくはとうちゃんが大好きなのだ。もちろん、そんなことは口に出しては言えない、てれくさくて。  そんなとうちゃんが恋をした相手は、ぼくの同級生、鈴木健龍の母親だった。健龍にも父親がいない。六年の春に転校してきた無口な健龍とは、ほとんど話もしたことがなかったぼくだけど、いつしかお互いを親友と認める仲になっていく。そして健龍の母親へのとうちゃんの恋心は、周囲の予想通りに、言い出す間もなく砕け散る。  複雑な家庭環境ながらも、ぼくは毎日をおもしろおかしく過ごしていたのだ。「結婚してもいい? おなかに赤ちゃんがいるの。」と、お母さんが突然言い出すまでは……。 1 ちょっと変わったぼくの家 2 恋 3 ぼくと健龍 4 はじまりの観覧車 5 とうちゃんのサイレントナイト 6 小学六年のバレンタイン 7 お母さんの爆弾発言 8 ぼくたちの「はじまり」 9 僕、とうちゃん、そしてババちゃん

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