経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へ

講談社現代新書

佐伯 啓思

2012年8月17日

講談社

924円(税込)

ビジネス・経済・就職 / 新書

私たちはいつまで誤った経済学を信じ続けるのか? いまだ収拾のつかないグローバル金融危機。これに対する各国の対応は、結局は対処療法に過ぎず、次のバブルを招来させるものでしかない。そして資本主義の危機を底で支えているのは、社会主義国の中国という喜劇的状況。なぜこのような状況に陥っているのか。筆者は経済学の根本、貨幣の根源にまで遡り、いまの過ちを論じる。(講談社現代新書) 今日のグローバル経済危機の根源には、私たちが現在「正しい」と思っている市場主義経済学の現実離れした理論があった。アダム・スミス、マックス・ウェーバー、そしてケインズといった賢人が、かつて語っていたことを丁寧に読み解き経済学と現実の関係を再び整理し直す。 さらにグローバル経済危機の中心になる金融市場が必然的に抱える問題を、貨幣の源流にまで根底にある貨幣の誕生にまで遡り明らかにする。 知的興奮とともに、今日の大問題への解決のヒントが見えてくる一冊! 第1章 失われた二〇年ー構造改革はなぜ失敗したのか  「構造改革」が長期的停滞の原因/市場化すべきでなかった「生産要素」/「社会的土台」を市場中心主義が破壊する etc. 第2章 グローバル資本主義の危機ーリーマン・ショックからEU危機へ 経済政策のトリレンマ/「国家」が市場に従属する etc. 第3章  変容する資本主義ーリスクを管理できない金融経済 金融市場の発展が「ブラック・スワン」を作り出す/世界経済を支えた生産と消費のインバランス/経済学の前提の誤り etc. 第4章  「経済学」の犯罪ーグローバル危機をもたらした市場中心主義 シカゴ学派の勝利/「科学としての経済学」の装いの成立/現実離れした理論が政策を動かした二〇年間 etc. 第5章  アダム・スミスを再考するー市場主義の源流にあるもの アダム・スミスは「市場経済学の祖」なのか/なぜスミスは重商主義を批判したか/「大地」に根ざした経済を擁護/国富は戦略で決まる etc. 第6章  「国力」をめぐる経済学の争いー金融グローバリズムをめぐって 国力と経済学/「交換の経済」と「生活の経済」/ケインズの自由放任批判/「金融グローバリズム」と「ナショナル・エコノミー」の対立 etc. 第7章  ケインズ経済学の真の意味ー「貨幣の経済学」へ向けて 貨幣の発生は合理的には説明不可能/経済活動と不確定性/貨幣が過剰性を生み出す/ケインズが「予言」した資本主義の長期的停滞 etc. 第8章  「貨幣」という過剰なるものー「稀少性の経済」から「過剰性の経済」 ポトラッチに見る「原・交換」/交換を可能にする「過剰なもの」/「ゼロ・シンボル」としての貨幣/「過剰性」を浪費するための「普遍経済」/現代文明にも生きている「ポトラッチの原理」/「過剰性」がさらなる「過剰性」を生み出す金融市場 etc. 第9章  「脱成長主義」へ向けてー現代文明の転換の試み 市場が稀少性を生み出す/豊かだけれど幸せではない日本人/かつての「アメリカの事情」が今日の状況を生んだ etc.

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