ビッグデータの覇者たち

講談社現代新書

海部 美知

2013年4月18日

講談社

836円(税込)

パソコン・システム開発 / 新書

直訳すれば「膨大な量の情報」といったことになるだろうが、量さえ集めても意味を為さないことは明白だ。シリコンバレーで開発される先端技術の一端は、すでに私たちの活用するところとなっている。ツイッターやフェイスブック、ECサイトのレコメンデーションなど、ビッグデータの恩恵に与っているケースが数多く存在する。欧米の企業や政府の取り組みをレポートしながら、日本の産業界が目指すべき立ち位置を模索する。 IT業界やマーケティングの世界でいまもっともホットなバズワードといえば、「ビッグデータ」だろう。最近では、ビジネス誌や専門書で取り上げられる機会も増えてきたビッグデータだが、その定義はあいまいなままだ。 直訳すれば、「膨大な量の情報」といったことになるだろうが、漫然と量さえ情報を集めても意味を為さないことは明白だ。 もちろん、これまで処理できなかった量の情報を処理できるようになった技術的進化がビッグデータを体現している側面は否定できないが、本書の目的はそういった技術論にあるのではない。 いまシリコンバレーでは、SNS・クラウド・ビッグデータをまとめて、三種の神器と称するという。この三つを活用しないことには、ビジネスになりえないのだ。 シリコンバレーで日夜開発される先端技術の一端は、すでに私たちの活用するところとなっている。ツイッターやフェイスブックはもちろん、ECサイトのレコメンデーションやテキストマイニングなど、明確に認識しないまでも、ビッグデータの恩恵に与っているケースが数多く存在するのだ。 だが、膨大な個人情報を扱ううえで立ちはだかるのが、プライバシーの問題だ。より詳細なものにこそ価値を置くという情報の性質ゆえ、価値が高ければ高いほどプライバシーとの線引きが難しくなるのは必然だ。欧米の企業や政府が取り組んでいる現状をレポートしながら、日本の産業界が目指すべき立ち位置を模索する。 著者は二十年以上シリコンバレーに暮らすコンサルタント。ビッグデータという概念を詳らかにしつつ、日本の産業界が参考にするべきビジネスモデルを明らかにする。 第一章 なぜ今「ビッグデータ」なのか 第二章 データ世界の考え方 第三章 ビッグデータを全身で体現するグーグル 第四章 主要ネット企業の勝敗を分ける「データ」 第五章 世界を良くするためのデータ技術 第六章 ビッグデータ技術の世界 第七章 ビッグデータの現在と未来

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3.4 2018年02月09日

ビックデータって何?。それは、人間の頭脳で扱える範囲を超えた膨大な量のデータを処理・分析して活用する仕組みといえます。そんな抽象的な言い方をしなくても、日々のGoogle検索でダイエットや格安ダイビングツアーのコマーシャルが表示されるのを見ると、僕の興味や消費動向を分析した上で表示されていることに、情報処理技術の高度さに目を見張る思いと心の底まで見据えられているような恐ろしさが相半ばします。 私たちの日々の生活は、メールを書いたりTwitterでつぶやいたり、Facebookで友人と交流したり、とSocial Network Serviceに費やす時間が割と多いものです。また、私達が身に付けるケータイやカーナビの位置情報は日々刻々と変更蓄積されていきます。さらにクレジットカードやポイントカードの利用、Suicaなどによる移動、を考えると、私たちの行動は様々な形で情報を吐き出しているといえます。著者はそれらのビッグデータを「新しい石油」と比喩しています。いまはまだその使い道が十分にわかってはいないが、使い方によっては社会の生産性や効率を大幅に引き上げる「資源」だというのです。しかも、その資源は先進国ほど多いのです。これらの膨大な情報は、クラウドコンピューティングと携帯端末の進歩で総合的に検索・分析・利用が可能になりました。 さて、本書のテーマ、ビックデータの覇者とは誰なのでしょうか。次に著者は、Google、Amazon、Apple、Facebookのビッグデータを使ったビジネス戦略について触れます。 先ずはGoogle。Googleは人々のメールというデータが「資源」となることに真っ先に気づいていたのです。ですから、無料で1GBまで使えるGmailをリリースして人々を驚かせました。Googleはメールや検索行動から情報を集め、それを使ってユーザーに合わせた広告配信を行い、ネット界の「巨人」に成長しました。 そんなGoogleもSNSの分野においては苦戦を強いられていますし、反対にNo1のFacebookは個人のさまざまな人間関係や生活記録といった宝の山を手にしておきながら「それをいかに使うのか」という部分では苦戦しているというのが著者の見立てです。さらにAppleは「クラウド」が実は苦手であり、ビッグデータの収集と展開では遅れを取っていると見ていて、Amazonはビックデータを支えるインフラとしての存在感を増していると見ています。 ビッグデータを活用したシステムがこれから先、「迷惑ストーカー」になるのか「忠実な執事」になるのかという問題意識は面白いですね。執事などに仕えられた経験のない日本人には、是非とも使いこなしてみたい存在です。ビッグデータの現状を知り、将来の姿を想像することができる、読みやすい一冊でした。

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