認知症の「真実」

講談社現代新書

東田 勉

2014年11月19日

講談社

880円(税込)

美容・暮らし・健康・料理 / 新書

“認知症”は国と医者が作り上げた虚構の病だった!認知症医療の「闇」と「希望」を描いた2014年最大の衝撃作。

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とも

(無題)

-- 2018年01月22日

厚生労働省によると現在、認知症の人の数は約462万人だという。予備軍の人も400万人いると言われており、団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、患者数が700万人を超えると見られている。このような深刻な事態に対応するため政府は、先ごろ「新オレンジプラン」を策定し、国家戦略を内外に発表したのは記憶に新しいところだ。団塊の世代の中でも塊の最も厚い世代である我が身としては、認知症は癌や心疾患、脳血管障害や糖尿病よりも大きなリスクを感じざるを得ない疾病である。何故なら高齢者であれば誰しもが、長期間にわたる要介護状態を避けたいと考えているからだ。本人の苦しみもさる事ながら、周りに迷惑をかけたくないとの思いからだ。ところが、ひとたび認知症となれば介護は必至で、その状態がいつまで続くか分からず、家族に地獄の苦しみが待ち受けている。 「ピンピンコロリ」。この言葉の裏には多くの日本人の願望「認知症にならずに長生きしたい」との思いが潜んでいる。ところが、それほど恐れる認知症についてどれだけの知識を持っているかと問われて、胸を張れる人は極々少数に止まるであろう。例えば、極めて単純な疑問「認知症はどんな病気?」との問に貴方は「認知症という病気はありません」と明確に答えられるであろうか。そもそも認知症とは、認知機能が衰えて社会生活に支障をきたした「状態」を指す言葉であって病名ではない。医療の世界では認知症を引き起こす原因疾患の数は、70とも100とも言われている。代表的なアルツハイマー病を筆頭に、四大認知症と呼ばれる4つの疾患が認知症の9割を引き起こすというのが医学の常識とされている。つまり、認識機能の低下を防ぐには、それぞれの疾患毎に異なる治療を施さなければならないことは、素人でも分かるというものだ。 ところがである。実際には認知症のことをよくわかっていない医師の診断の元に抗認知症薬や抗精神薬が処方されているのが現実である。薬は、とりあえずアリセプトが使われる。すると、約2割のお年寄りが病的に怒りっぽくなる。そこで、鎮静させるために向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入薬など)を併用する。そうすると、取り返しがつかないほど悪化させられるお年寄りが少なくない。本書はこのような認知症に関わる高齢者の薬害を引き起こした厚生労働省、医師、製薬業界を告発するものである。そのひとつの例として、エーザイのアリセプトが挙げられる。1999年の認可以来、売り上げを伸ばし、2011年にはついに1442億円と国内で販売されている医薬品のトップに立った。この売上高1442億円には実感が伴わないと思われるので、菓子メーカー江崎グリコの全売上高を上回ることを付記しておこう。 厚生労働省は「認知症は脳の病気なのだから治療が必要だ」と言い、医師から「進行を遅らせる薬がある」と言われれば、処方を望む患者及び家族が増えるのは当然である。これと並行してアルツハイマー型認知症の患者が不自然なほどの増加を示している。アリセプトの処方がアルツハイマー型認知症に限定されているところから、アリセプトの処方を保険診療で認めさせるために、カルテにアルツハイマー型認知症との診断結果を記入する医師の姿は容易に想像できる。 著者は、65歳未満で発病する若年認知症は脳の病気と考えても良いが、かなり高齢になっている人も同様に扱おうとする所にそもそもの混乱の原因があると言う。高齢者の認知機能が衰えた事に対して、「病気だから治さなければいけない」と薬を使えば、良い結果を生み出すわけがないと言うのだ。認知症を引き起こす最大のリスクファクターは、長生きなのだから「認知症になるくらい長生きしたのだ」と喜ばなければならないと著者は考える。認知症は病気ではなく、老化ではないのか、との著者の見識には大変に考えさせられる。

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