
非常/寒風/雪国抄 川端康成傑作短篇再発見
講談社文芸文庫
川端 康成 / 富岡 幸一郎
2015年3月11日
講談社
1,760円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
全集以外の収録が稀な初期の作品や、著者の没後に発見された「雪国」の抄作など、川端文学の深奥に触れる、知られざる名作12編。
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(無題)
生きている方に 地獄 北の海から 読了 川端康成は「雪国」や「古都」といった技巧的に美を描いている(と思う)名高い作品よりも、何気なく書いていることは無いと思うが何気なく書いているように思わせる掌編の方が、より作者の魔性性や抜けられない魔界のようなものをふと思わせるのでそちらの方が怖ろしい。「掌の小説」などもそうである。 このリーディーだと「ちよ」のちよの後に必ず出てくる松氏の書き方にちよに対しても松氏に対しても忘れ得ぬ怨み恨みを感じるし、「反橋」の あなたはどこにおいででしょうか のあの連作、そしてこの本では「地獄」の中の 昨日雲仙の湯殿で初めて裸を見た純潔で清潔な若い女をその夜抱いて部屋に返すと次の朝、女は白骨であった(地獄谷に身を投げ煮え湯で身は溶けてしまった) などのエピソードが、女の情念の怖さなぞより、自分がその男だったら...と思うと死ぬ際まで取り憑かれる呪縛であろうと思われて読んでいて少しトラウマになる恐ろしさなのである。ところが作者は「あの時朝まで女と過ごしていたなら女は死なずに済んだかもしれないのに」と描き、男はそう思いつつ今の自分の妻のことを思ったりどこか他人事のようなうたかたのような川端康成独特の冷たい温かさが漂う文章である。 「北の海から」に登場する新聞記者の「あなたはなにかお着替えなさいませんか」といった優しさやその言葉は異性ではなく肉親かもしれないし誰しも一つ二つくらいは持っている宝石のような思い出である。この作者はそういった温もりはどこからも得られず生涯孤独であったようにも思われる。 小説を通してではあるけれど、相次ぐ家族の死の生い立ちから初恋の女初代、その裏切り、そして三島由紀夫の死から果ては歴史にいたるまで生涯何かしらの重い呪縛から逃れられずとうとうそれに飲み込まれてしまったのだろうか。と思ってみたりする。
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